全学ニュース

武笠教授に文部科学大臣賞

 このたび,本学大学院工学研究科教授武笠幸一氏が文部科学大臣賞(研究功績者)を受賞されました。

武 笠 幸 一(むかさこういち) 氏武 笠 幸 一(むかさこういち) 氏
 文部科学大臣賞は,我が国が安定した社会経済の発展を図るため,創造性に優れた科学技術を振興することを主眼とし,近年出された成果の中で実際に利活用されており,その実績から見て国民生活及び社会・経済に優れた効果をもたらす顕著な成果をあげた方々を顕彰するものです。その中の研究功績者は,科学技術に関して社会・経済に対する貢献の可能性の高い優れた研究成果をあげた研究者として表彰されるものです。
 氏は,「磁気顕微鏡の研究」で以下の業績により表彰されました。
 情報技術(IT)を支える基盤技術の一つである高密度磁気記録技術は,国際的な技術開発競争の渦中にあり,高密度磁気記録技術をリードするためには,高分解能の表面磁気構造の計測・評価が行える装置,すなわち原子分解能レベルで磁気構造を観察できる磁気顕微鏡の開発が望まれていました。
 氏は,電子スピン計測という観点から,動作原理の異なる各種の高分解能磁気顕微鏡についての基礎研究を行い,特に,独自のコンセプトに基づく小型電子スピン分析装置を開発し,小型電子スピン分析装置を応用したスピン分解走査型電子顕微鏡を実用化しました。また,走査型原子間力顕微鏡による磁気構造測定原理を発明し,原子分解能でのスピン構造観察に成功し,スピン分解原子間力顕微鏡(交換相互作用力顕微鏡)を実現しました。
 これにより,サブ・マイクロメートルの空間分解能から原子分解能までの磁気構造の観察が可能となりました。
 本開発により,原子・分子レベルでスピン計測への応用ができることから,ナノ・テクノロジー分野の技術水準を向上させ,情報記録技術の分野の発展に貢献するものと期待されています。

略  歴  等
生年月日 昭和15年7月19日
出身地 北海道
昭和40年3月 北海道大学工学部電子工学科卒業
昭和42年3月 北海道大学大学院工学研究科電子工学専攻修士課程修了
昭和42年4月 北海道大学工学部助手
昭和55年4月 アルプス電気(株)新潟事業部
昭和62年4月 北海道大学工学部教授
平成9年4月 北海道大学大学院工学研究科教授

(工学研究科・工学部)