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教育学部,9年目の高校生一日体験入学実施

 教育学部では,6月22日(土)に北海道内の高校生を対象に「高校生の一日体験入学」を実施しました。平成6年(1994年)に全学に先駆けて開始してから9年目になります。今年も札幌,小樽など道央圏をはじめ,室蘭,苫小牧,旭川,夕張,帯広,函館,北見など道内各地から38校,202名の高校生が参加しました。
 遠方からの参加者は前日宿泊をしてきており,午前8時半の受付開始時前から並ぶ高校生もいて,開始時の9時には文系共同講義棟8番教室は,ほぼ満席の高校生の熱気に包まれました。逸見教育学部長,姉崎社会交流委員会委員長,一日体験入学経験をした学部生(石川愛子さん)のあいさつの後,所教務委員会委員から教育学部紹介冊子“We Like Humans”を使っての本学部の教育と研究の特徴についてオリエンテーションが行われました。
 高校生たちは,その後11コースに分かれて模擬講義・演習・実験などに参加して「一日学生」を体験しました。今年は,教育心理学系3コース(障害のある子供について考える,人間の暗黙知について,いじめに関する研究),教育・社会科学系2コース(地域社会に学ぶ,産業と教育),教育・基礎論系4コース(学校に行くとはどういうことなのか,教養教育から大学を考える,教育の歴史,教育の方法),スポーツ・健康科学系2コース(北国の健康科学,スポーツの歴史)の内容が用意されました。各コース19名ほどに分かれて,教官,院生,学生などの準備した講義・演習・実験による教育学部の研究・教育の内容の一端にふれたといえます。その後,高校生たちは,再び文系8番教室に戻って「体験」したそれぞれのコースの内容について感想を発表し,全体交流をしました。例年のように多様な感想が出されました。「ひとつのことを詳しく掘り下げて考えるのが良かったです。大学ではこういう風に講義を受けるのか−」,「人間の暗黙知については,最初何の意識も持たなかったけれども,ブランコに乗ったり,子供たちのビデオを見ているうちに,無意識的に行う人間の動作やしぐさなど,新しい発見をする新鮮な驚きが持てました」,「今日の体験入学を通して,北大に入学したい,是非自分もあの場で討論をしてみたいという思いがたぎり始めました」,「大学では,講義室で講義を受けるだけではなく,調査する地域へ行って,実際に自分の目で見て,耳で聞き,報告書を書くというとても興味のあることでした。一層大学への興味がわき,受験に向けてがんばろうと思いました」,「「教育」という分野を他の分野と切り離して考えがちだけど,様々な分野と教育との接点を深めることがこれからの教育の現場に必要なことなんだなと今日の演習を受けて強く感じました」,「昨年のオープンユニバーシテイには参加したのですが,その後実際に大学でどのような形式で授業(演習)が行われるのかということに不安を持ち始めました。しかし,今日の「一日体験入学」でその不安がかなり解消されました。大学ではどのようなことを考えなければならないのかという「ものの見方」が分かった気がします」,「時間がとても早くすぎていくのを感じました。先輩方とお話をすることができて,「大学」ではどんなことをしているかということを聞けてとても勉強になりました」,「よかったこと一つめ。この大学を志望していながら見学に来ていなかったので来れたこと。二つめ。大学の授業の雰囲気がつかめたこと。これはすごくためになったと思う。大学生は知的でかっこいいなと思った」,「教育について教わるというより,教育について考える機会を与えてもらった時間でした。大学は堅いイメージがありましたが,ユニークな先生方が多く,楽しかったです」,「小中高の授業とは全然ちがう感じでとても驚いた。答えが用意されていないと知って不思議な気分になった」,「指を冷やす実験をしました。人間の耐寒能についての講義はとても興味深かった。教育学部にもっと入りたくなりました」,「私自身部活動をしていますが,「運動をする」ということは,ただ身体を鍛えるためのことだと考えをもっていました。しかし,今回講義を受けてスポーツの歴史を知り,原点を知りました」
 以上は,参加した202名の高校生の感想の一部です。高校生たちの若々しい感性と考えを伺うことができます。教育学部では,こうした声を生かしながら次年度以降の「高校生一日体験入学」事業の充実をはかり,8月に予定されているオープンユニバーシテイにも積極的に取り組んでいく所存です。

(教育学研究科・教育学部)

「一日体験入学」を経験した石川愛子(教育学部2年生)のあいさつ 教育学部の概要を説明する所伸一教授と高校生たち
「一日体験入学」を経験した石川愛子(教育学部2年生)のあいさつ 教育学部の概要を説明する所伸一教授と高校生たち