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総合博物館第3回公開セミナー
『北大の生物多様性研究−分類学からのアプローチ(1)−』を開催

会場いっぱいの参加者
会場いっぱいの参加者

 総合博物館では,平成14年6月26日(水)午後1時半から午後4時半まで,第3回公開セミナーとして「北大の生物多様性研究−分類学からのアプローチ(1)−」を,北海道大学総合博物館1階「知の交流」コーナーにおいて開催しました。今回のセミナーは,北大において展開されている生物多様性研究の成果を学内異分野の研究者や学生,広く一般の方々に紹介することを目的に行われたものです。
 北大において生物分類学を専攻する研究者の数は20名を越え,全国でも第一位ではないかと考えられています。今回のセミナーでは,水産科学研究科,農学研究科,理学研究科と学内の幅広い部局からの講演者が集まりました。まず魚類分類学の立場から,カジカ類の種多様性の紹介,北太平洋をバックグラウンドとした地理的な分化,系統関係についての話が展開されました。次に昆虫分類学の観点から,ハナバエを材料に北半球における種の分類地理が報告され,主な分布経路としてネパールヒマラヤから新大陸への方向性が示されました。最後に,ヨコエビ類を材料として種分類の考え方・方法の概要が述べられ,相同の概念,系統分類あるいは体系分類との関係が議論されました。質問や議論では,次世代の研究課題や対象生物群を如何に決定するか,といった話題にまで及びました。北大の持つ生物分類学分野でのアドバンテージを今後如何に生かし,伸ばしていくかという点はこれからの大きな課題として残されています。
 本セミナーには一般市民や学生など約90名にも及ぶ参加者があり,会場では立ち見もでる程でした。事前の新聞等による広報が行き届いていたためか,「分類学」という一般市民には馴染みが薄いテーマにも関わらず盛況なセミナーとなりました。また,セミナーの前後や合間には展示を熱心に見学する市民の姿もありました。
 北大で展開されている研究を,一般市民にも分かりやすく紹介する場・機会として,今後とも本館の開催する公開セミナーが果たす役割には大きなものがあると実感されるものとなりました。

講演題目及び講演者
「北の魚,カジカ類の種多様性」
 矢部衛(水産科学研究科 助教授)
「ハエは飛んだ,ヒマラヤからロッキーへ」
 諏訪正明(農学研究科 教授)
「種分類と体系分類」
 馬渡峻輔(理学研究科 教授)

(総合博物館)