水産科学研究科・水産学部では,「研究科・学部として今やっておくべきこと−学生の声は聞こえていますか−」をテーマとして,第6回ファカルティ・ディベロップメント(FD)を平成14年7月29日(月)に開催しました。
例年どおり夏のFDは講演・報告を中心とし,今考えられる問題点を討論するもので,教官29名の参加がありました。
以下の4点から討論が行われました。1)水産科学研究科・水産学部の学生の声にどのように応えるのか,2)第2年次学生に対する修学意識調査から見た札幌キャンパスでの教学指導の改善,3)学生による授業アンケート調査(学部)のフィードバック及び大学院アンケート調査(大学院)について,4)ハラスメントについて。
山内晧平研究科長・学部長からは研究科・学部の将来に向けて真剣に考え,取り組むべき事項が指摘されました。
(1) 学生の声をきちんと汲み上げるシステムが必要であること。
(2) 我々が入学を許可し,希望に満ちて入学してきた学生を,4年間で責任をもって教育してどのような学生を育てて世の中に送りだすのかを明確にすること。
(3) 特に,札幌キャンパスでの1年半の教育期間の学生に対するケアは,教官の負担が少々増えても早急に考えなければならないこと。
(4) それを実現するための組織が,現在検討されている学院研究院構想などとどのようにリンクできるのかを検討すること。
(5) 現在の学科体制,専攻体制の在り方は十分なのか,法人化を控え,これから10年,20年の間,教育研究を向上しながら維持していく体制はどのようにあるべきか検討することなど,現在直面している重要な問題が浮き彫りにされました。
これらの問題に関連して,全学教育を受けている学生に対する意識アンケート調査の結果から見えてくるもの及び情報化社会の中で学生の間で何が問題となっているのか,それらに対して教官はどう対処するべきなのかが討論されました。
今後の修学指導あるいは厚生補導の在り方によっては,学生たちの学習意欲向上にも影響する大きな問題といえます。
学生による「授業アンケート調査」に関連して,教官にフィードバックされているデータに基づく解説では,クラスサイズが70名以上の授業になると一般にアンケート設問6の評点『授業により知的に刺激された。』が(あるいは科目評点平均)下がる傾向があること,必修科目より選択科目では自分の受講しようとする意思が強く働くことで設問評点あるいは科目評点平均が高い傾向がみられたことが報告されました。
従来から学生の授業に対する心理的な側面から,そのような傾向があるだろうと予想されていましたが,今回のデータ解析からもそのことが裏付けられました。
大学院学生に対するアンケート調査結果については,大学院重点化前(平成10年)と重点化後(平成13年)の学生の講義に対する意識変化が紹介され,学生の要望にどのように応えることができるかについて討論を重ねました。
ハラスメントでは,平成10年ごろからの大学教官によるセクシャル・ハラスメントの実態及び文部科学省のセクシャル・ハラスメントの定義からセクシャル・ハラスメント(セクハラ),キャンパス・ハラスメント,キャンパス・セクシャル・ハラスメント,アカデミック・ハラスメント(アカハラ)などの用語の使われ方など,基礎知識を理解してもらうことが中心に行われました。学生間のセクハラ,授業を行う狭い空間あるいは研究室内での教官と学生の間のセクハラ,さらに,水産学部では特殊な閉鎖空間である練習船内でのセクハラも起こり得る可能性が高いことが指摘されました。
(水産科学研究科・水産学部)
|