訃報
助教授 西本  肇(にしもとはじめ) 氏(享年51歳)
助教授 西本  肇(にしもとはじめ) 氏(享年51歳)


 教育学研究科・教育計画講座助教授 西本 肇氏には,10月30日病気のため御逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表します。
 同氏は,昭和26年11月16日北海道札幌市に生まれ,昭和50年3月北海道大学教育学部を卒業されました。昭和51年4月から同大学大学院教育学研究科に進学され,昭和56年7月に同大学大学院教育学研究科博士後期課程を単位修得退学された後,同年8月に北海道大学教育学部助手に採用となり,平成2年4月に助教授に昇任されました。
 同氏は,わが国戦後の文部行政機構の形成過程を研究し,戦後教育行政の構造的特質を「分権的姿勢をとった行政的集権制」と規定するとともに,その集権制がタテワリ行政と非権力的な「指導」行政によってもたらされていることを明らかにされました。これは戦後教育行政の性格を単純に法的側面から集権制として理解していた学界にあって研究のレベルを一段引き上げる大変重要な研究でした。同氏は明治期文部行政の歴史的研究にも手を広げられ,本格的な文部行政史・教育行政史の研究者として高い評価を受けられていました。その後,同氏は現代学校論研究にも乗り出され,学校の<制度>的構造の解明に取り組むとともに,学校=公教育制度の存在そのものに対する大きな問題提起をなされました。その成果は,先年出版された著書『学校という<制度>』にまとめられています。一書を出版され研究活動にさらなる邁進をされようと気力の充実しておられたさなかでの突然の御逝去であり,本学のみならず学界にとっても大変大きな損失で誠に残念でなりません。
 ここに御生前の功績を偲び,心より御冥福をお祈り申し上げます。

(教育学研究科・教育学部)