本年度の医学教育等関係業務功労者として,本学から医学研究科文部科学技官小川良彦氏,医学部附属病院文部科学技官丸山盛一氏,医学部附属病院文部科学技官村山峰子氏の3氏が表彰され,平成14年11月26日(火)ホテルフロラシオン青山において,表彰式が行われました。
この表彰は,文部科学省が毎年,医学又は歯学に関する教育・研究若しくは患者診療等の補助的業務に従事し,顕著な功労のあった方々に対して行うものです。
3氏の表彰に当たっての感想を紹介します。
(総務部総務課)
○小 川 良 彦(おがわよしひこ) 氏
(医学研究科文部科学技官)
はからずも受賞の評価を頂き,さて賞に値する職責を果たせていただろうか…,ともあれ年長としての指名もあわせ頂いたもの…,などとの思いと,いささかの面映さを覚えながら先の式典に臨み,その栄に浴してまいりました。
御高配と御尽力を頂きました皆様に深く感謝いたし,厚くお礼を申し上げる次第です。
縁があり電子顕微鏡を職務としましてから今日まで,未熟ですが多くの方々に育てていただいたこと,先輩,同僚や学内外の諸氏にも恵まれて幾多の教えを受け,社会的な視野を広げていただいたことにも感謝をいたしております。
20世紀後半の科学技術の進歩にも助けられ,電子顕微鏡は形態解析の有力な装置としてめざましい発展をとげましたが,私が入職した1960年代当初は日本が敗戦後の復興から高度成長へと向う途上にあり,当時の電気や工作等の技術水準下では電子顕微鏡の保守と操作は極めて複雑で難作業を強いられるものでした。始動から検鏡観察,写真撮影に至るまでには計りしれない時間と労力を要し,鏡体操作には目と指先感覚にたよる微妙な軸調整能力が,手探り段階の試料作製には開発改良の方策を,などが次から次と求められ,それらに対応する職人的技量の習得に懸命になって励み,鍛錬を重ねた毎日でした。また,この頃のキャンパスにはまだ牧歌的な雰囲気が溢れており,仲間とともに文字通り青春を謳歌し,恐れを知らぬまま過ごした楽しくも懐かしい時代でありました。
現在の高性能で洗練された新装置を前にして,その過渡期から今日まで携わってきた者としての思いは格別ですが,キャンパスの移り変わりの一コマ一コマとも繋ぎ合わせて思いを馳せ,過ぎた日々を振り返ってみたいのは,やはり歳を重ねたことのゆえなのでしょうか。
21世紀を迎え,生命科学分野の超微細構造解析法もまた新たな展開が期待され,時代にふさわしい新顕微鏡の開発とますます高度な観察技術が求められています。
おりしも国立大学全体が変革の只中にありますが,とりまく環境がより厳しくなろうとも技術支援の重要な役割は不変であろうことを思い身を引き締めているところです。
本学技術職員への一層の御指導と御鞭撻をお願い申し上げます。
(医学研究科・医学部)
〇丸 山 盛 一(まるやませいいち) 氏
(医学部附属病院文部科学技官)
このたびは,医学教育等関係業務功労者表彰を頂き,大変光栄に思っております。
昭和41年に医学部附属病院放射線部に採用となって以来,36年余り,エックス線撮影診断業務に携わってまいりました。
私が入部した当時は,中央放射線部から放射線部への移行期に当たり,この間,撮影装置は暗室透視装置からエックス線テレビ装置へ,直接断層装置から回転断層装置へ,またCT装置,MRI装置等の導入,血管造影装置,一般撮影装置のデジタル化へと移り変わりました。また,放射線部の機構も放射線診断部門に加え,放射線治療部門,核医学診断部門,デジタル映像処理部門等が開設されるなど大きな変化を遂げた時期でもありました。
また,病院新棟への移転に合わせ,放射線画像診断の内容も完全デジタルへ,また,より高性能の装置へと大きく変化を遂げました。
このすばらしい環境の中で,診療放射線業務に携わってこられたのも,諸先輩の皆様,同僚の皆様のお力添えのおかげと感謝いたしております。
最後になりましたが,このたびの表彰に当たり御尽力くださいました方々に,心より感謝申し上げます。
(医学部附属病院)
〇村 山 峰 子(むらやまみねこ) 氏
(医学部附属病院文部科学技官)
このたび,文部科学大臣表彰という身に余るすばらしい賞を頂き,戸惑っておりますとともに,大変恐縮に,また,光栄に思っております。
表彰に当たり,御尽力くださいました関係各位の方々に,深く感謝申し上げます。
私は,昭和38年4月に,医学部附属病院中央検査部に採用され,生化学検査室に勤務することになりました。薄暗い廊下,重たく軋むドア,すぐ外に出られる中庭に面した古い小さな部屋でした。(その年の7月には,新しく広い所に移転しましたが)この年は,文部省より中央検査部として認可され,検査部拡充が始まりました。その頃,検査に必要な設備,器具も少なく,煮沸の時,試験管の蓋は,お菓子の袋が一番良いと,それを理由に,売店を往復したものです。また,試薬作りも,最近,身近に余り見られなくなった化学天秤,PHメーター等を使い,加熱して振りながら溶かす時の緊張感は,今でも忘れられません。
洗い物なども,1日使った器具はもちろん,タオル,ガーゼなど,試験管は1本1本ブラシで洗う先輩の見事な手さばきを習い,この時間が,同僚とのコミュニケーションの時でもありました。月日の流れを実感いたします。年々コンピューターを中心に,自動化が進み,作業時間も短縮され,正確性,迅速性が求められます。
このような変遷の時代,検査室の業務に,長年携わってこられたことは,生涯の思い出となり,有り難く,また,うれしく思います。
未熟な私を御指導,お力添えくださいました諸先生,諸先輩,検査部の皆様に,心からお礼申し上げます。
(医学部附属病院)
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