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農学研究科で市民公開・農学特別講演会を開催

 農学研究科では,11月29日(金)午後1時30分より,本研究科の大講堂において,農学研究科,札幌農林学会及び札幌農学振興会主催の市民公開・農学特別講演会が北方生物圏フィールド科学センターとの共催で『暮らしの中のバイオテクノロジー』をテーマに開催されました。
 この講演会は1898(明治31)年に発足した「札幌農林学会」が毎年開催してきた特別講演会を継承,発展させた学術講演会で,100年以上の歴史を持っており,平成9年から「市民公開・農学特別講演会」と名称を変えて,広く市民に公開されるようになりました。本年度の講演会は市民に公開してから6回目の開催となります。
 講演はまず,森永乳業株式会社・専務取締役の冨田守氏が「ミルクの秘密」という題で,母乳(初乳)に多く含まれることが知られるラクトフェリンの抗菌作用や抗酸化作用,そして免疫調節作用など,その多様な機能について解説された後,急速に進む高齢化社会において従来の医療を補完する機能性食品素材としてのラクトフェリンの利用や今後の研究について展望されました。次に講演された本学農学研究科・教授の冨田房男氏は「バイオアイランド北海道の実現に向けて」と題し,バイオサイエンスの進歩によって生まれた新しいバイオテクノロジーに我々は何を期待できるのかについて,栽培したチコリーからイヌリンや有用オリゴ糖を生産する技術やわさび加工廃棄物を低温下でも堆肥にする技術を例に分かりやすく説明されました。また,冨田教授は話の中で,安全で安心できる食料・食材の供給地として北海道で新しいバイオ産業を育成していくことの可能性と重要性を強調されました。
 本講演会の来聴者は160名を越え,公開講座としてすっかり定着したようですが,今年はさらに,北海道の生涯教育の一環として行われている道民カレッジの連携講座に指定され,これを機により多くの市民に親しまれるようになることが予想されます。

(農学研究科・農学部)

講演する森永乳業株式会社・専務取締役の冨田守氏 講演する冨田房男教授
講演する森永乳業株式会社・専務取締役の冨田守氏
講演する冨田房男教授