獣医学研究科では,去る平成15年3月24日(月)と25日(火)に研究活動の外部評価を実施しました。特に,人獣共通感染症の研究実績と人獣共通感染症制圧のための研究開発実施計画について適切な評価と助言を得るため,ウイルス性人獣共通感染症の研究において顕著な業績を納めている研究者を文部科学省大学改革推進等経費の支援により招きました。評価委員は,Robert
G. Webster博士(米国St. Jude Children's Research Hospitalウイルス学部長,WHOインフルエンザウイルス生態学研究センター長),Clarence
J. Peters博士(米国テキサス大学医学部教授,生物防衛センター長)及び河岡義裕博士(東京大学,医科学研究所ウイルス感染分野教授)の3氏です。
評価資料として,獣医学研究科教官48名全員の略歴と過去10年間の業績,「人獣共通感染症制圧のための研究開発計画」及び計画推進担当者10名の個人調書を英文で準備しました。
第一日目の午前に計画推進担当者の中,獣医学研究科教授5名が各自のこれまでの研究実績と当該計画における役割について説明し,評価委員と討論しました。次いで各研究室の視察を受けました。
同日午後には北海道大学獣医学部創立50周年記念基金シンポジウム「人獣共通感染症制圧のための選択肢」を本学学術交流会館において開催しました。評価委員と北海道大学大学院医学研究科の有川二郎教授が講演しました。本学教官と大学院学生,他大学,研究所,地方自治体などから130名が参加し,活発な討論が行われました。
第二日目は午前9時から委員による真摯で精力的な評価の取りまとめが行われた後,午後3時から評価結果の講評とそれに対する質疑・応答がなされました。講評の結論は,次のとおりです。
1) 獣医学研究科における人獣共通感染症の研究実績は国際水準から見て卓越している。
2) 人獣共通感染症制圧のための研究開発計画は,各感染症についてフィールドと実験室における研究が並行して実施される点でユニークであり,優れている。
3) 人獣共通感染症の克服は現下の最重要国際課題であり,本計画が掲げる目標が達成されれば,人類社会に大きく貢献する。
4) 研究実績から鑑みて,本計画の目標は達成可能と判断される。
さらに評価委員会は,本計画実施拠点の将来像を「人獣共通感染症国際研究教育センター」“International
Collaboration Centers for Zoonosis Control”としていることを高く評価し,この研究教育中核拠点の形成を期待するとともに,本拠点に人獣共通感染症と節足動物媒介性感染症の予防・制圧のためP-4施設(微生物高度安全取り扱い施設)を設置することを強く推奨しました。
(獣医学研究科・獣医学部)
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