今年で18回目を迎えたスラブ研究センター公開講座が,5月12日(月)から6月2日(月)までの毎月曜と木曜,計7回にわたって開かれました。
かつてロシア帝国の首都であり,現在もモスクワに次いでロシア連邦の文化・学術・政治・経済・対外関係に屈指の地位を占めるサンクト・ペテルブルグは今年(2003年)建都300周年を迎え,現地では盛大な記念行事が開催されましたが,今回の公開講座は首脳外交の場ともなった現地記念行事の開催時期に合わせて,ロシアの都市サンクト・ペテルブルグに焦点をあて,3世紀にわたる歴史の歩みとそこに開花した文化の諸相を平易な解説によって立体的に再構成する試みとして企画されました。
18世紀初頭,ピョートル大帝によってネヴァ川のほとりに築かれたサンクト・ペテルブルグの誕生を扱う第1回に始まり,日本の古典詩歌に魅せられた名高いロシアの作曲家たちによる歌曲を生演奏で聴く最終回に至るまで,話題はロシア自然科学の発祥から大祖国戦争下900日の攻防戦まで,そして一口に文化といっても,小説,詩,演劇,音楽といった多面的ジャンルの丁寧な紹介を含み,ふんだんに視聴覚教材を使った興味の尽きない公開講座となりました。そうした斬ざん新しんな切り口からの講義により,たぐいまれなロシアの都市サンクト・ペテルブルグの魅力を満喫していただけたと思います。
閉講時のアンケートでも,「全日程大変心に残りました」,「どのテーマもとても興味深く受講しました」,「それぞれ第1〜7回まで書物では得られない感激を憶えました」といった高い評価を頂きました。参加者の男女比はほぼ半々,過去にセンターの公開講座を受講した参加者が約半数,その半数が4回以上の受講経験者で,このことはすっかり市民のあいだに定着した公開講座となっていることをうかがわせます。今後も引きつづきスラブ関連の学問の世界と広く札幌市民,北海道民の接触の場として公開講座を企画していきたいと思います。
なお,各講義の概要は,北海道開発問題研究調査会の雑誌『しゃりばり』に近く連載されます。
(スラブ研究センター)
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