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総合博物館第4回企画展示「アイヌ民族楽器−ムックリ・トンコリ−」展を開催

 総合博物館は「知の統合」コーナで第4回企画展示「アイヌ民族楽器−ムックリ・トンコリ−」展を6月23日から7月12日まで開催しました。
 近年,アイヌ文化の継承や復興,また新たなアイヌ文化の創造が行われています。
 このような背景のもと,博物館などでアイヌ民族に関する展示が行われてきましたが,アイヌ民族に伝えられてきた楽器を中心とした展示はありませんでした。この「アイヌ民族楽器−ムックリ・トンコリ−」展は,これまでくわしく紹介されることのなかったアイヌ民族楽器の展示を通して,「アイヌの音世界」を感じてもらいたい,と考えた本学文学研究科の演習(担当教官:同研究科北方文化論講座 助教授 佐々木亨)に参加している大学院生を中心としたメンバーが,企画・準備をし,実現したものです。
 この企画展は,ムックリ(口琴)・トンコリ(五弦琴)をよく知っていただくために,次の2つの目標のもと,準備を進めてきました。ひとつは,アイヌ民族楽器であるムックリ・トンコリを,見て,聞いて,作って,これらの楽器をより身近なものに感じていただきたいこと,もうひとつは,釧路支庁管内標茶町塘路の「あそう会」が行っている音楽活動の紹介をすることで,アイヌ民族楽器の現在を知っていただきたいということです。
 そのために,トンコリ製作者である諏訪良光さんの工房をイメージした展示,ムックリ・トンコリとそれらに関わる人たちの歴史などを中心に展示構成をしました。また,ムックリを含む口琴というものを音声解剖学の立場からみるという新しい視点も紹介しました。そして,ムックリを作ったり,トンコリにさわったりできることで,単なる展示物としてではなく,楽器としての楽しさを感じられるようにしました。7月5日には「あそう会」によるムックリ演奏会,11日から12日には諏訪さんによるトンコリ製作実演,12日は「アイヌ音楽の諸相」(谷本一之さん),「音声解剖学からみた口琴とその音」(阿部和厚さん)と題した講演会が開催されました。この展示がきっかけとなって,多くの来館者の方々がムックリやトンコリに興味をもっていただけたと思います。
 開催期間中は通常の倍ほどの入場者があり,大変好評のうちに終了いたしました。

トンコリ製作者・諏訪良光さんの工房をイメージしたコーナー ムックリ製作を体験する来館者と指導する院生
トンコリ製作者・諏訪良光さんの工房をイメージしたコーナー
ムックリ製作を体験する来館者と指導する院生
(総合博物館)

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