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電子科学研究所で第5回RIES-Hokudaiシンポジウムを開催

 電子科学研究所(Research Institute for Electronic Science: RIES)では,12月1日と2日の2日間,国際シンポジウム「The 5th RIES-Hokudai Symposium on Advanced Nanoscience 織(Shoku)」を21世紀COE「バイオとナノを融合する新生命科学拠点」プログラムと共催で,本学学術交流会館において,約160名に及ぶ多くの参加を得て開催しました。
 今年は電子科学研究所附属ナノテクノロジー研究センター実験棟の竣工(創成科学研究機構の主催で11月27日に竣工式開催)に合わせて,その記念行事の一つとして,当研究センターが目指すボトムアップに基づくナノテクノロジーと関連の深い“織〔shoku〕”という一漢字キーワードから連想される「Advanced Nanoscience」をメインテーマに取り上げました。
 ナノサイエンス研究・ナノテクノロジー開発の重要な研究道具である走査トンネル顕微鏡の開発で1986年にノーベル物理学賞を受賞されたHeinrich Rohrer(ハインリッヒ・ローラー)博士にナノテクノロジーが新たに開く世界を語っていただくとともに,“織〔shoku〕”に関連する研究をされている国内外の研究者をお招きし最新の成果について講演していただき,本研究所の研究員・参加者で広く議論を行いました。
 講演は6つのセッションから成り,6名の海外からの招待者,5名の学外からの招待者,5名の本学の招待者,本研究所から6名の講演者及び26件のポスター発表がありました。
 本シンポジウムは,本研究所が目指す物理,化学,数学,電子,生物に関わる広範囲の分野,光・電子・バイオ領域の融合した新しい研究領域「複合領域ナノサイエンス」研究を加速することを大きな目標にしているものであります。そのため通常のワークショップ,シンポジウムには見られない一見専門分野や取り扱う材料が全く異なる研究者を一堂に会することに努めました。シンポジウムのサマリーを引き受けていただいた海外招待者の一人Paul R. Benjamin(University of Sussex)教授は,「このような形式のシンポジウムは初めての経験であった。私はニューロサイエンスの専門家であり,半導体などについてはほとんど知識がなく,これまで自分の分野以外の講演を聞く機会がなかったが,本シンポジウムで通常では得ることのできない多くの専門外の情報を得ることができ,非常に有益であった。これからのナノサイエンスやナノテクノロジー研究には必須の形体である。」と締めくくられました。このサマリーは,逆に半導体関連が専門の先生からは「ポリマーやバイオ関連の講演並びに議論をする機会を与えられ,すばらしいシンポジウムであった。」と感想をいただきました。
 今回のシンポジウムを通して,本研究所では分野・領域を超えた融合研究「複合領域ナノサイエンス」が大切であるとともに,研究スタイルでも世界をリードしているとの自信を深めました。今後も,研究所を挙げてこの方向の研究を推進し,来年度も同様のシンポジウムを開催する予定です。

(電子科学研究所)

シンポジウムでの講演・討論風景 学術交流会館前での記念撮影
シンポジウムでの講演・討論風景
学術交流会館前での記念撮影

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