北大のキャンパスの中に就学前の子供たちが通っている施設があるのを皆さんご存じでしょうか?大学の構成員は教職員と学生・院生というように全員が成人によって占められていますので,大学の構内を小さな子供たちが通園してくるという姿を見かけた時には意外と感じられるかもしれません。既にこの北大時報には幼児園のことが何度か載っていますのでご存じかもしれませんが,教育学研究科附属乳幼児発達臨床センターにこの「実験保育室(通称:北大幼児園)」があります。この北大幼児園の歴史は古く,その始まりは昭和27年まで溯ります。規模は小さく4,5歳児20数名が通園していますが,内容は通常の幼稚園と大きく変わりない保育や季節毎の様々な行事を行っています。そしてこの幼児園の最大の特徴は北大キャンパスの恵まれた自然環境を活かして子供たちの自由な遊びと活動を引き出そうとしていることです。そして私たち研究者も子供たちの日常の生活をしっかり見据えながら研究を展開することを目指しています。
今年も恒例のクリスマスお楽しみ会が12月13日(土)に開かれました。当日は,保護者や御家族の皆さん,学生,教職員,そして卒園児10数名とその家族が参加して,開演から終了までの間,子供たちと大人の笑いや歌の声がホールに響き渡って,お楽しみ会が盛大に行われました。去年に続き北大応援吹奏団の有志10名による特別演奏は好評でした。子供たちもそれぞれの参加者の方たちの歌や踊り,音楽演奏などの心のこもったたくさんの発表を楽しみ,何といっても待望のプレゼントがサンタクロースからひとりひとりに渡され,大喜びの一日でした。参加した大人も全員が子供たちと一緒に楽しむことができました。
このクリスマスお楽しみ会は,子供たちの表現する楽しみ,そして表現する力を身に付けていく活動としても位置付けられています。みんなで一つのものをつくりあげる過程を楽しみながら,子供たち一人一人がお互いの良いところを認め合いつつ自信をつけていくための絶好の機会ともなっています。4,5歳の子供たちにとって魅力的な活動の一つが劇遊びです。ただ単に「自分が演じて楽しい」だけではなく,「お客さんから見てどうか」というもう一つの視点を持つようになってきます。さらに,「よりよいものを創ろう」という意識も芽生えてきます。クリスマスお楽しみ会までの過程で,子供たちは,自分たちで話し合って決める力,工夫して物を創る力,励まし合いながら粘り強く取り組む力を育み,随分と自信をつけていきました。子供たちが1か月間取り組んできた「おおかみと子やぎたち」の劇は,ひとりひとりが自分の役をしっかりと演じてとても感動的でした。
北大幼児園では,これらの多くの方々の御協力を頂きながら,今後も実践を基礎にした発達研究を進めていきたいと考えています。
(教育学研究科附属乳幼児発達臨床センター)
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