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国際シンポジウム〜北海道・オウル〜開催される

 3月23日及び24日の2日間,本学とフィンランド・オウル大学とのシンポジウムが「地域産学官連携による経済活性化」をテーマに,札幌市内のホテルを会場に産学官の関係者をはじめ一般市民も参加し開催されました。
 本学とオウル大学は2001年12月に大学間交流協定を締結しており,今回のシンポジウムは,両大学間の今後の学術交流の一層の活発化を図るとともに「北大リサーチ&ビジネスパーク構想」のモデルとなったオウル大学を核とする産学官連携の経験を北海道の地域社会が共有し,北海道に適合するシステムを見出し,また,北海道内企業がオウルのテクノポリスへ参入する道を本学が創るきっかけとするなど,北海道とオウル地域との交流を通じて産学官連携による地域経済の活性化を図ることを目的として,経済産業省北海道経済産業局,北海道,札幌市,北海道経済連合会等の共催により開催されたものです。
 シンポジウムには,オウルからオウル大学長をはじめとする大学関係者のほか,オウル市副市長,オウル市商工会議所会頭など9名が参加。また,北海道側からは,中村総長,山本北海道副知事,上田札幌市長,泉北海道経済連合会会長が参加するなど,双方の産学官の要人が一堂に会しました。
 シンポジウム第1日目,午前に行われたオープニングでは,中村総長のあいさつをはじめ,山本副知事,上田市長,泉会長及びマッティ・ヘイモネン 在日フィンランド大使館公使参事官からあいさつがあり,続いて「オウルにおける産学官連携の成功の秘訣」と題したラウリ・ラユネン オウル大学長の基調講演が行われました。午後からは,「科学技術振興による経済活性化」をテーマとするセッション1が行われ,「地域経済活性化への大学の役割」と題した長田副学長の講演をはじめ,北海道,札幌市,科学技術振興機構の各幹部による講演,及びマッティ・ペンナネン オウル市副市長,マッティ・プルフ オウル市商工会議所会頭など7つの講演が行われました。
 第2日目,午前は,「未来を作る科学・技術」をテーマにセッション2が行われ,オウル大学2名,札幌医科大学1名,本学3名からそれぞれ先端的な研究が紹介されました。また,午後からは「基礎研究からビジネスへのプロセス」をテーマにセッション3が行われ,オウル側3名,北海道側8名の講師から産学官連携の現状や役割などについて講演がありました。講演後セッション毎に行われた討議では,一般参加者からの質問も交えて地域経済の活性化の方策等について活発な討論が繰り広げられました。
 「地域経済活性化のフロンティア」と題したパネル展も同時に行われた会場には,地元自治体と連携し携帯電話で有名なノキア社を育てるなど地域経済を活性化させた実績を持つオウル大学の経験からヒントを得ようと,二日間で延べ約500名の参加者が集まりました。シンポジウムの最後には,今回のシンポジウムの成果を踏まえ,今後のより一層の科学技術の活用と連携強化を通じた両地域の更なる発展に向け,ネットワークの構築,交流プログラムの策定を促進することなどがアピール文として採択されました。
オープニングであいさつする中村総長
オープニングであいさつする中村総長
ラウリ・ラユネン オウル大学長の基調講演
ラウリ・ラユネン オウル大学長の基調講演
シンポジウム 会場風景
シンポジウム 会場風景
パネル展示 アピール文が採択され握手を交わす両学長
パネル展示
アピール文が採択され握手を交わす両学長
セッション毎に行われた討議
セッション毎に行われた討議
オウル及び北海道の産学官代表者による記念撮影
オウル及び北海道の産学官代表者による記念撮影
(学術国際部国際企画課)

「北海道−オウル」産学官連携推進アピール文


 われわれ札幌市を含む北海道とオウルの住民は,北方圏が育む豊かな自然と限りない可能性を基盤として,これまでに蓄積された科学技術を活用した地域の産業振興を通じ,北方圏の新たなライフスタイルの創造に向けた努力を重ねてきた。この共通目標を達成するために始まった北海道とオウルの交流は,今,10年余りの歳月を経て,新たな連携の段階を迎えようとしている。
 われわれは,今回の北海道大学とオウル大学を中心とした産学官の協働によるジョイント・シンポジウムにおける大いなる成果を踏まえ,今後のより一層の連携強化を通じた両地域の更なる発展に向け,以下の項目が必要不可欠であることを認識し,努力する決意をここに表明する。

1.われわれが生み出してきた科学技術は,地域経済の活性化をもたらす源泉として,サイエンスパークにおける新事業・新産業の創出に効果的に活用されることが望ましい。

2.われわれが生み出してきた科学技術は,情報化社会や知識集約型社会に貢献し,人々の健康・環境・コミュニケーション等に寄与することが望ましい。

3.われわれが目指している産業クラスターは,産学官の緊密な連携基盤なくしては実現し得ないものであり,地域産業を蓄積し,地域競争力を高めるための重要な戦略である。

4.われわれが生み出してきた科学技術や経験は,相互に学びあう価値があり,産学官それぞれの分野において交流が推進されることが望ましい。

5.ネットワークの構築や交流プログラムの策定を促進し,前項の目的を実現するための具体的行動を開始するため,北海道大学,北海道,札幌市,北海道経済連合会,オウル大学,オウル市及びオウル商工会議所におけるコンタクト・パーソンを定め,双方におけるアイデアを集約し,提案する任務を持たせ,将来にわたっての共通の行動計画やネットワーク内の日常の連携のための行動計画を策定すべきである。

以上

平成16年3月24日
北海道大学,北海道,札幌市,北海道経済連合会,
オウル大学,オウル市,オウル商工会議所
を代表して

北海道大学総長 中村睦男


 


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