口腔医学専攻・口腔機能学講座有床義歯補綴学分野教授 歯学博士 川崎 貴生氏は,入院加療中のところ,平成16年2月11日御逝去されました。ここに生前の御功績を偲び,慎んで哀悼の意を表します。
同氏は,昭和23年3月5日,兵庫県豊岡市に生まれ,昭和48年3月に北海道大学歯学部を卒業,同年5月に北海道大学歯学部歯科補綴学第一講座助手に任用され,同52年4月同大学歯学部附属病院講師,同54年同大学歯学部講師,同56年12月同大学歯学部助教授を経て,平成元年9月同大学歯学部教授に昇任し,平成12年4月の大学院重点化に伴い,大学院歯学研究科教授となりました。
同氏は,歯科補綴学を専攻し,アタッチメント用合金の基礎的研究で昭和56年3月北海道大学から歯学博士の学位を授与され,その後も,有床義歯に関する研究はもとより,口腔機能やデンタルインプラントに関する研究を進められ,その成果は高い評価を受けています。
部分床義歯の分野においては,三次元座標測定機やレーザー変位計を用いての支台歯や義歯床の変位,応力解析を行い,さらには有限要素法を他に先がけて応力解析に導入し,新たな一面を確立されました。生体材料に関しての研究は,傾斜機能型デンタルインプラントや骨補填材の開発からナノ物質の生体材料への応用と進展しました。また,咀嚼と全身との関係の解明にも精力的に取り組まれ,非侵襲的・三次元・多点・時系列解析システムを独自に開発し,咀嚼時における下顔面皮膚上の動態解析が咀嚼運動機能評価法として有効であることを明らかにされました。
北海道大学歯学部においては歯科補綴学第一講座,大学院重点化後は歯学研究科口腔機能学講座有床義歯補綴学分野を担当され,歯学部附属病院では第一補綴科診療科長や咬合系歯科科長として,歯学部,歯学研究科及び附属病院の発展に努められました。平成7年4月から平成11年3月及び平成13年4月から平成15年9月まで北海道大学歯学部附属病院長として全国の歯科大学附属病院に先立ち病院組織を改組し,さらなる患者サービスの向上のため歯学部附属病院と医学部附属病院の統合を推進,実現されました。統合後は平成15年10月から平成16年1月まで北海道大学病院副病院長として北海道大学病院の発展に邁進されました。平成7年4月から平成11年3月及び平成13年4月から平成15年9月まで北海道大学評議員として北海道大学の発展にも尽力されました。さらに,平成10年7月から平成14年6月まで歯科医師試験委員を務め歯科医師の養成にも深く関与されました。
日本補綴歯科学会におきましては,平成13年4月から平成15年3月まで東北北海道支部長,平成13年4月からは理事として教育問題検討委員長及び研修教育検討委員長の要職を歴任して学会の運営発展に寄与されました。その間,平成7年には東北北海道支部学術大会長として学術大会を主催されました。
地域との関連においても,北海道歯学会理事,北海道医療審議会委員,北海道歯科技工士試験審議会委員として北海道の歯科医療の水準の向上発展に多大な貢献をされました。
今後のますますの御活躍が期待される中での御逝去であり,誠に残念でなりません。
ここに先生の御冥福を心からお祈り申し上げます。
(歯学研究科・歯学部)
(本来ならば,3月号に掲載の予定でした。川崎先生の御冥福を心よりお祈り申し上げます。)
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