平成16年7月5日(月)理学部大講堂において安全管理に関する講習会「研究室における安全対策の実際」が,連携講座「基礎産業生物科学講座」扇谷悟教授(独立行政法人産業技術総合研究所ゲノムファクトリー部門分子発現制御研究グループ長)を講師として開催されました。
本研究科では,本年4月からの法人移行に伴い労働安全衛生法が適用となり,より一層厳格な安全衛生管理が求められることから,教員,特に安全主任者を中心とした講習会を開催したものです。
まず,前半では,安全管理に関する総論として, ※1)事故・傷害に対する四重責任(1.刑事責任,2.民事責任,3.行政責任,4.社会的責任)について,実例を交えて説明がありました。
特に教授(助教授)には,学生に対して業務(実験等)の方法と共に起こり得る危険を教え事故を未然に防ぐ安全配慮義務があること。この安全配慮義務を怠った結果,学生が負傷した場合は,大学は債務不履行あるいは不法行為に基づく損害賠償を負うことなどの説明がありました。
後半では,扇谷先生が産業技術総合研究所分子発現制御研究グループ長として,教員,学生等の着任時の安全教育,月1回以上の実験室の安全確認及びグループ安全衛生会議等の安全教育の取り組み方の説明がありました。
また,※2)施設,設備に関する一般的注意事項,※3)特定化学物質,危険薬品等実験にかかわる注意事項及び地震による試薬等の転倒防止などの安全対策の取り組みについて,実例を交えて説明が行われました。
最後に,事故を起こしてしまったとき(ヒヤリハットも含めて)は,学内での同様事故を未然防止するためにも,報告書を作成,科内の安全関係部署による調査,事故内容の公開等を行うことが必要である旨の説明がありました。 |
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扇谷 悟教授 |
講習会会場 |
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※1.事故・傷害に対する四重責任
1)刑事責任(労働安全衛生法,高圧ガス保安法,消防法,刑法(業務上過失傷害)による懲役・罰金)
2)民事責任(損害賠償)
3)行政責任(業務停止)
4)社会的責任(信用の失墜) |
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※2.施設,設備に関する一般的注意事項(主な注意事項)
1)危険・有害な作業は,原則として,休日・深夜に行わないこと。
2)常勤職員以外は,原則として,常勤職員不在時に危険・有害な作業を行わないこと。
3)不在時に無人運転機器がある場合は,必要な安全措置を取り,緊急時の連絡先を廊下に掲示すること。 |
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※3.特定化学物質,危険薬品等実験にかかわる注意事項(主な注意事項)
1)薬品
a 一般薬品
転落防止
b 廃液
蓋(ふた)を開けっ放しにしない,転倒防止,適切な分別
c 試薬
試薬庫を固定。試薬はしきりの中へいれる
d 有機溶剤,特定化学物質,毒物・劇物,危険物
法規に沿って取り扱う
使用記録(劇物・毒物,特定管理物質(ベンゼン))
必要に応じドラフトの使用
必要に応じ保護メガネ,マスク,手袋を使用
実験室を居室にしない。飲食禁止等とする
応急措置の掲示等
e 危険薬品
机の上に出しっぱなしにしない。床には絶対に置かない
転倒防止のための柵(さく),カップを利用
薬品庫を固定する。施錠する
使用記録(劇物・毒物)
2)電源
ショートさせない。床をはわせない。ケーブルの保護等
3)ボンベ
上下2箇所を固定。使用期限を守る
4)避難経路の確保
80p以上の歩くスペースを置く
廊下にものを置かない
棚の上にはものを置かない。棚は固定する |
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(理学研究科・理学部) |