| 教育学研究科シンポジウム「特別支援教育を具体化するために−人・地域・ネットワーク形成−」開催される |
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| 開会のあいさつをする田中教授 |
11月23日,文系合同教育研究棟W103教室において,教育学研究科主催によるシンポジウム「特別支援教育を具体化するために−人・地域・ネットワーク形成−」が開かれ,約120名の方が参加しました。これは,本研究科が今年度から始めた,研究共通経費による「特別支援教育と地域支援プログラムの展開」研究プロジェクトの一環として行われたものです。この研究プロジェクトは,現・本研究科教育臨床講座(教育臨床心理学・臨床教育学研究グループ)教授で,以前に北海道立緑が丘病院において児童精神科医として発達障害のある子どもたちのために地域支援ネットワークを作って活躍された,田中康雄先生を代表者として結成されています。
文部科学省では,平成16年3月に,「今後の特別支援教育の在り方(最終報告)」を発表しました。それによりますと,特別支援教育とは,「従来の特殊教育の対象の障害だけでなく,LD,ADHD,高機能自閉症を含めて障害のある児童生徒の自立や社会参加に向けて,その一人一人の教育的ニーズを把握して,その持てる力を高め,生活や学習上の困難を改善又は克服するために,適切な教育や指導を通じて必要な支援を行うものである」とされています。
この教育を具体化するために,「個別の教育支援計画」「特別支援教育コーディネーター」「広域特別支援連携協議会等」の3つの柱が設定され,地域における関係者・諸機関の連携がその実現のために重要であるとされています。
そこで本研究科では,これから始まろうとしている特別支援教育を前にして,ひと,地域,そしてネットワークを考えるためのシンポジウムを企画することにしました。
当日は最初に逸見勝亮研究科長があいさつされ,続いて田中教授の司会で午前のシンポジウムが開催されました。このシンポジウムでは,特別支援教育に関わって十勝地域で活躍しておられる4名の方がお話をされました。最初に,新得町立佐幌小学校で養護教諭の吉藤さゆりさんが,「学校内外での組織作り−教育現場における実情と校内外組織の連携を考える 種まく人たちへ−」と題して発表されました。吉藤さんは,保健室を訪れるADHDなどのある子どもたちの訴えを聞くなかで,保護者の思いや教師の悩みに接し,学校内が子どもたちのために,いかに連携できるかをさぐってこられました。同時に,医師や専門機関の関係者と連絡を取り合いながら,子どもたちを支援するためにどのように連携すればよいのかを考えてこられました。吉藤さんの「種まく人へ」と題する提案は,参加者の大きな拍手に包まれました。
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| 熱気に包まれたシンポジウム会場 |
次に,幕別町立白人小学校教諭の北川和博さんが,「学校現場から,そして地域へ…−育っていく子どもたちの姿から教えられ そして始めたこと−」と題して発表されました。北川さんは,これまでに情緒学級などで出会ってきた子どもたちのお話から始められました。自閉症などのある子どもたちに関わる中で,この子どもたちをどのように支えたらよいのか悩み,役場の関係者や学校外の様々な人たちとの語りの中から,サポートの糸口を見つけて展開してゆかれました。現在は,幕別町の「おかゆの会」を関係者と共に育てながら,子どもたちの居場所作りに取り組んでおられ,そこに展開される関係者のかかわりについてお話をされました。
次に,帯広大谷短期大学社会福祉科講師の内田雅志さんが,「学校と他職種との連携を考える」と題して発表されました。内田さんは,以前に勤務されていた児童相談所で出会った子どもを例に,学校教育と家族を支援するためにどのようなことが求められるか,異職種が学校教育の支援の輪に入るための条件や関係者自身が意識を転換することの重要性を話されました。
最後に,足寄町福祉課福祉係長の佐々木浩治さんが,「地域でネットワークを創り出すコツ」と題して発表されました。佐々木さんは,施設指導員として勤務した経験をもとに,特殊学級担当の新任教員が子どもたちにかかわる悩みにつきあいながら考えてこられたことや,地域でのネットワークを創りあげていくための人間関係,信頼関係の大切さを語られました。
午後は,上の4名の方に,さらに本研究科教育臨床講座(教育福祉論研究グループ)の青木紀教授と,本研究科教育計画講座(教育行政学研究グループ)の坪井由実教授も加わり,田中教授の司会で総合討論が行われました。最初に,青木教授と坪井教授から,各シンポジストの発表についてコメントと質問が出され,各シンポジストが発言しました。さらに参加者からも質問や意見が多数出され,熱気に包まれた討論が展開されました。
本研究科では今後もこのようなシンポジウムを開催していく予定です。 |
(教育学研究科・教育学部) |
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