| 北海道大学大学院医学研究科高次診断治療学専攻機能再生医学講座リハビリテーション医学分野教授 医学博士 眞野行生氏は,平成16年11月7日,肺炎のためご逝去されました。ここに生前のご功績を偲び,慎んで哀悼の意を表します。
同氏は,昭和18年8月26日愛知県に生まれ,同43年3月名古屋大学医学部医学科を卒業し,同43年4月同学部附属病院において1年間の臨床研修を修了した後,同54年12月「安静時および視運動刺激時における脊髄(せきずい)小脳変性症の立位能について」により名古屋大学から医学博士の学位を授与されました。昭和44年4月から同46年12月まで名古屋第一赤十字病院において内科医師として臨床業務に従事した後,同47年1月から名古屋大学医学部において副手として臨床神経生理学的研究に従事し,同年4月から同年6月まで同学部附属病院医員として診療・研究業務に従事し,同年7月から同49年6月までニューヨーク大学メディカルセンター・リハビリテーション部門レジデントとして臨床リハビリテーション医学についての研究を,同年7月から同50年6月までベイラー医科大学神経内科学講座のレジデントとして臨床における神経内科学についての研究を,同年7月から同51年9月までメリーランド大学医学部神経内科学講座の客員研究員として神経生理学と筋肉組織の実験的研究を行われました。引き続き,同年10月から同53年7月まで名古屋大学医学部附属病院の医員として診療・研究業務に従事し,同年同月からは国立武蔵療養所神経センター疾病研究第四部第二研究室長に就任し,神経変性疾患の研究を行い,同56年9月には奈良県立医科大学神経内科学教室助教授に就任し,同年10月からは同大学附属病院神経内科副部長を命ぜられ,同62年3月からは同大学附属病院リハビリテーション部副部長を兼務し,以来平成7年9月までの14年間,同大学の教育・研究・臨床業務に従事されました。平成7年10月からは,北海道大学医学部に新設されたリハビリテーション医学講座の教授に就任し,平成11年4月には北海道大学大学院医学研究科リハビリテーション医学分野の教授として,主として運動学習での神経系の可塑性研究とリハビリテーション医学全般の教育・研究に従事されておりました。
同氏は,中枢性神経疾患に対する臨床的評価および治療に対して数々の研究を行い,日本で初めての経頭蓋(ずがい)磁気刺激装置の開発とヒトへの臨床応用に関する安全性の検討を行い,臨床的検査法として確立させ,現在では健康保険適応のある臨床検査法として認められております。これは,非浸襲的な中枢神経系の評価として優れたものであります。さらに,難治性中枢性神経疾患に対する連続経頭蓋磁気刺激法の治療的臨床応用について研究を重ね,その治療手段としての可能性に光明を見出しております。
さらに,リハビリテーション医学の見地から,交通事故外傷後の高次脳機能障害に対して,早くから患者のおかれている現状を客観的に把握し,その支援に対して北海道庁より「北海道高次脳機能障害者体制整備推進委員会委員長」に任命され,高次脳機能障害に対する認知リハビリテーションの確立に関する先駆者の一人として社会的に貢献しておりました。
以上の一連の研究に対して,同12年12月に「Adaptive FES Switching System for Hemiplogics」によりANNIE2000賞(ANNIE-Artificial
Neural Networks in Engineering)を,平成15年には北海道医師会賞・北海道知事賞を授与されております。また,多年の優れたリハビリテーション医学及び臨床神経生理学研究により,International
Society of Electrophysiology and Kinesiology理事,日本電気生理運動学会会長・理事,日本リハビリテーション医学会理事,日本神経治療学会理事,日本臨床環境医学会理事,バイオメカニズム学会理事,米国American
Academy of Neurology会員,米国American Congress of Physical Medicine
& Rehabilitation会員を歴任して斯界(しかい)の第一人者として活躍するとともに,文部省学術審議会専門委員,文部科学省大学設置・学校法人審議会専門委員,厚生省理学療法士作業療法士試験委員会委員,厚生労働省長寿医療研究委託費運営委員会委員,学位授与機構審査臨時専門委員,北海道医師会常任理事,北海道総合保健医療協議会委員等を多数歴任されております。一方,学内にあっては,同8年1月から同15年9月まで北海道大学医学部附属病院理学療法部長,同15年10月からは北海道大学病院リハビリテーション部長を歴任し,大学病院の管理・運営に尽力し,今日の北海道大学病院の発展に寄与しております。又,平成6年に新設された同学部リハビリテーション講座の初代教授としてその管理運営に腐心するとともに,同学部の教育・研究にも尽力し,門下から国内外で活躍する優秀な研究者を輩出する等研究者教育にも貢献されました。
以上のように,同氏はリハビリテーション医学分野において,研究面で優れた業績をあげるとともに,学生の教育,人材育成等我が国の学術進歩に多大な貢献をなし,北海道大学並びに大学院医学研究科・医学部及び北海道大学病院の発展に寄与し,我が国のリハビリテーション医学の重鎮として卓越した業績をあげ,我が国及び世界の関連領域の研究進展に多大な貢献をされました。
今後ますますのご活躍が期待される中でのご逝去であり,誠に残念であります。ここに先生のご冥福を心からお祈り申し上げます。
(医学研究科・医学部)
|