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総合博物館第19回企画展示「道具が伝える日本人の知恵とかたち−置戸町 秋岡生活資料より−」展

 北海道大学総合博物館は2月26日から3月27日の約1ヶ月間,3階企画展示室において「道具が伝える日本人の知恵とかたち−置戸町 秋岡生活資料より−」展を開催しました。本企画展は,常呂郡置戸町に所蔵されている「秋岡生活資料」の一部を展示したものです。「秋岡生活資料」とは,先人の知恵とかたちを,「人間の手の可能性と日本の木工芸の文化」として追求し続けた,工業デザイナーの故秋岡芳夫氏が収集した約18,000点の生活道具のコレクションです。その内容は,日本中の包丁や箸(はし)から宮大工道具一式まで日本の木工芸道具を網羅しているといっても過言ではありません。この「秋岡生活資料」を展示することで,存在と価値,秋岡氏が目指した「手の復権と人間工学に基づいた生活文化のデザイン」をより多くの人に知っていただくことを目的に開催することとなりました。
 展示は,「つかうモノの知恵」・「つくるモノの知恵」・「かくれたモノの知恵」と3テーマをもとに展開しました。まず「つかうモノの知恵」として,遊山弁当に代表される弁当箱や宮大工道具を展示し,これらにこめられた「軽く・小さく・美しく」という先人の知恵を紹介しました。続いて「つくるモノの知恵」として,飛鳥時代から用いられてきた製材技法である「割り木工」について職人道具を通して紹介し,最後に「かくれたモノの知恵」として,道具は手のひらや指の長さなど身度尺(しんどしゃく)から導き出された不文律によって箸や茶碗(ちゃわん)などのサイズが決まっていることを紹介しました。また,桶・曲げ輪づくりのビデオも放映し,より分かりやすい展示を目指しました。
 来場された方々には,展示内容を興味深くご覧いただけたと考えています。ご高齢の方には,日常生活で使っていた懐かしい道具を見ることができた,という声をいただき,若い方には,このような技術が日本にあったのかと感心した,という声をいただきました。また,「秋岡流」箸や茶碗の選び方は,年齢を問わず来場された方々の興味と関心を抱いていただけたようです。もっと色々な資料を見たい,定期的に展示を行ってほしいという,企画に携わった人間として非常に嬉しい言葉も聞かれました。「秋岡生活資料」の整理はまだまだ未完成です。本企画展を第一歩として,今後とも北大と置戸町の関係を維持し,調査と展示を行うことができればと考えています。


遊山弁当の道具 ビデオの放映
遊山弁当の道具 ビデオの放映
(総合博物館)

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