情報科学研究科で小・中学生ナノテク・サマー教室を開催 |
情報科学研究科情報エレクトロニクス専攻において8月3日(水)から5日(金)までの3日間,小学校6年生と中学生を対象とした,ナノテク・サマー教室を開催しました。同専攻ナノエレクトロニクス研究室の研究設備を活用し,同研究室の学生・研究員による指導ボランティアを中心に,ナノメートルスケールの微細加工と原子スケールの表面観察の実験を行いました。本教室は今年度で5回目となりますが,昨年度の新聞記事や本広報誌の記事をご覧になった方から年度当初より開催についての問い合わせがあるなど,多くの方に興味をもっていただけるようになりました。本年度は研究室の事情で教室開催の案内が遅くなり,本学のホームページや外部のポータルウエッブサイトでのお知らせはしましたが,新聞掲載は間に合わず,そのため例年よりは参加希望者が少なくなりました。多くの方に周知できなかったのは残念でしたが,例年行う参加者抽選はせずに希望者全員に参加頂くことが出来ました。
実験を通じてじっくりと先端研究に触れるこの教室は,短時間で先端研究の幾つかに触れるオープンキャンパスや体験入学とは性格を異にする企画です。午後1時から4時までの3時間に短い導入説明と2つの実験項目を行い,これを3日間行うことで,合計9時間で6項目の実験を行います。教官や学生が実験機器の操作を行うデモンストレーション実験ではなく,ボランティア学生の指導のもと参加者自らが先端機器の操作を行います。最も純粋に科学や技術に対して興味を抱く年ごろである小学6年生と中学生を対象とし,日常では触れることのない先端科学の機器や,これらを用いて見ることのできる微細な領域での自然の姿に,驚きや感動を覚えてもらうことを目的としています。
本年度はクリーンルームに入り電子線描画装置を操作して,ナノスケールの名前や図形をシリコン基板表面上に作製し,光学顕微鏡,走査型電子顕微鏡,原子間力顕微鏡などでこれらの観察を行いました。また,これらの顕微鏡を使って,昆虫目や触覚など様々な自然界の微細構造の観察も行いました。さらに,超高真空走査型トンネル顕微鏡を使った実験では,タングステンの針を電界研磨で作成し,シリコン基板表面の原子像を行い,原子がひとつひとつ区別して見えることを確かめました。今年度は原子をはじいて操作する実験はうまく行きませんでしたが,子供たちは,ナノテクノロジーの舞台となるナノスケールの世界の一端を体験し,科学技術のさらなる可能性について思いをはせることが出来たのではないかと思います。
参加した子供たちと保護者の方の評価はもちろんのこと,指導にあたった学生にも好評で,学生たちも来年度以降の教室開催について積極的であることから,来年度も同時期の8月2〜4日の開催を予定しています(応募締め切りは7月21日ごろの予定)。子供たちは夏季講習等で忙しい時期でもありますが,本広報誌をご覧の方には,是非,お子様やお知り合いの子供たちに本教室についてお知らせいただければと思います。 |
 |
クリーンルームで微細加工実験中の子供たち |
|
(情報科学研究科) |
|