『野外シンポジウム2005〜森をしらべる〜』が,8月22日から26日までの日程で,北方生物圏フィールド科学センター森林圏ステーション雨龍研究林で開催され,森林研究に関心のある全国各地の学部学生21名が参加しました。野外シンポジウムは,学生たちが実際の森林をその目で見て,さまざまな分野の研究発表を聞き,そして自らの手で触れながら確かめる「見る,聞く,触れる」ことを通して,森林研究に関する最新の情報を共有し,人と森の豊かな共存を考える場で,今年で8回目となります。
一日のプログラムは現場でのフィールドセッションと作業体験,そして研究内容の詳しい解説や質疑応答を中心とした屋内でのポスターセッションという2本立ての構成になっています。天候にも恵まれ,参加者たちは地上20メートルの森林観測タワーに登って林冠を観察したり,夢中で魚を追いかけたりしながら,北海道の豊かな自然の中で野外調査の面白さを満喫しました。今年は新しい試みとして,参加者自身が研究者になったことを想定し,興味のあるテーマを選んで研究の動機や目的,作業仮説,調査方法等を考えて発表するアンビシャスセッションを取り入れ,課題の設定や目的を達成するためには何が必要かなどを自ら考える時間を持ちました。シンポジウムに参加した学生から,「教科書的な話だけでなく,展望や考え方,研究の進め方などが聞けて良かった」,「不思議なほど好奇心がわいてきた」,「毎日ドキドキ,ワクワクで感動の連続だった」などの感想が聞かれ,好評でした。
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セッション内容一覧
1.森と川 生態系のつながり
*雪と寒さが森にもたらすものは?
*森で水ができるまで
2.豊かな森をつくる
*山づくり:深いササとのたたかい
*倒木が森を育てる
3.樹高,種子… 植物のサイズは何で決る?
*天と地,陰と陽:樹木はどこまで高くなれるのか
*究極の矛盾:げっ歯類による種子散布
4.渓流に暮らす生き物たち
*魚の分岐点:川に残るか,湖に回遊するか?
*河川工事をする水生昆虫
5.北国の森,今,そして未来
*ドサンコが森をつくる
*森林の100年先は予測できるか |
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土壌養分の無機化実験を体験 |
研究林の大自然に囲まれて |
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(北方生物圏フィールド科学センター) |