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電子科学研究所で“命”に関する国際シンポジウムを共同開催

 電子科学研究所(Research Institute for Electronic Science, RIES)では,12月5日から7日の3日間,国際シンポジウム『Multi-Institutional International Symposium on“命”』を,本学学術交流会館において,250名を越す多くの参加者を得て開催しました。
 従来RIESでは,毎年1回1つの漢字をテーマに,それに関連する様々な領域で活躍する第一線の研究者に招待講演をお願いし,領域を超えたInterdisciplinary,さらにはTransdisciplinaryな研究交流を推進することを目的としてきました。今年で7回目を迎え,今やRIESの伝統ともなっています。
 今回のテーマは,“命”です。近年,生命科学の発展は目を見張るものがあり,それ故に,ますます全体の動きを把握する必要があります。このためには,総合大学である本学内はもとよりのこと,学外との連携が不可欠となります。幸いにも,本学は理研・日立と包括連携を組んでいます。この枠組みを活用し,理研・本学脳科学専攻・RIESの共同開催として実施する運びとなりました。これにふさわしく,本国際シンポジウムは,21世紀の科学技術を支える人材育成と人材活用に関する理研・日立・北大ジョイント講演会に引き続き,同会場で開催されました。
 第1日目は,生命科学の新しいフロンティアをテーマとする特別講演で,ノーベル財団カロリンスカ研究所のグリルナー教授の神経科学に関する講演,ジョンホプキンス医学大のウェイ教授のナノメディスンに関する講演,理研脳科学研究所の甘利教授の数理脳科学に関する講演がありました。21世紀の生命科学への展望を個性あふれる語りで示してくださいました。第2日目は,脳科学専攻を主軸にして,機能する脳の発達,脳の機能を支える分子レベルでの出来事,機能する脳のイメージングという3つのセッションと,夜には懇親会を兼ねたポスターセッションが行われました。第3日目は,RIESを主軸にして,バイオイメージングの次世代,時間空間秩序の自己組織化の2つのセッション,ならびに北大ニコンバイオイメージングセンター(10月1日RIESに開設)の説明がランチョンセミナーとして開催されました。
 RIESは,その創設以来,学際領域の研究を推進しています。現在光・分子・生命に関する研究,とりわけナノテクノロジーを重点的に推進しています。今回の“命”に関する国際シンポジウムは,RIESが学問上自ら選択し推進してきた道が,今後ますます総合的・融合的に発展する方向であることを知るよい機会となりました。また,今回初めて,異なる組織間との連携・共同という新しい運営方法に関する挑戦に実験的に取り組みました。このように,学問上でも組織上でもさらに総合性を発揮する道を模索することにより,本学のよりよい総合大学づくりにおけるRIESの役割を果たして行きたいと考えています。
スウェーデン,カロリンスカ研究所のグリルナー教授による特別講演 参加者による集合写真
スウェーデン,カロリンスカ研究所のグリルナー教授による特別講演 参加者による集合写真
(電子科学研究所)

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