部局ニュース

総合博物館土曜市民セミナー「デルス・ウザーラはどんなことばを話したか?」

 総合博物館では1月14日(土)に土曜市民セミナー「デルス・ウザーラはどんなことばを話したか?−北方少数民族とその言語」を開催しました。講師は北大大学院文学研究科の津曲敏郎教授です。
 デルス・ウザーラという人物は,20世紀初頭にロシアの探検家アルセーニエフの沿海州探検の案内人として活躍したゴリド人の猟師であり,アルセーニエフの文学作品と黒澤明の映画化(1975年)によって広く知られています。それらの作品の中でデルスの話していたことばには,ゴリド(=ナーナイ)語よりむしろ同系のウデヘ語に近い単語が含まれています。本セミナーでは,デルスは実際に何語を話していたのか,どういう人物だったのかについて作品中の記述を手がかりに検討を行いました。講師の津曲教授によると,デルスを描いたアルセーニエフの著作は一般に考えられているほど事実の忠実な記録ではなく,多分に作者のイマジネーションの産物という面をもっているそうです。
 デルス・ウザーラの知られざる実像が作品中の記述や使用言語を手がかりにして次々に明らかになる過程は大変興味深く,78名のセミナー参加者は最後まで熱心に耳を傾けていました。
アルセーニエフ(左)とデルス セミナーの様子
アルセーニエフ(左)とデルス セミナーの様子
(総合博物館)

前のページへ 目次へ 次のページへ