全学ニュース

北海道大学サステイナビリティ・ガバナンス・プロジェクト(科学技術振興調整費プログラム)がスタート

 本プログラムは,一昨年に東京大学と京都大学がほぼ同趣旨の提案を行い,そのテーマの広範さのために,総合科学技術会議より東大が主幹となってより広い連携によって立ち上げることを要請されたものです。以後1年の準備期間に,東大が中心となって全国にサステイナビリティ学連携研究機構(以下IR3Sと略称)への機関単位での参加を呼びかけ,15機関(国立大学法人11,私立大学2,独立行政法人2)が応募し,中から4機関が選ばれて平成18年度から4年間にわたって実施されることになりました。
 北海道大学は,このIR3Sからの呼びかけに対して,すみやかに参加の基本方針をうちだし,学内構成員の参加の意思および提案を募りました。そして複数の部局からいただいた重要な提案を整理統合し,総長を代表とし,大崎満役員補佐(研究戦略室)を企画運営責任者としてSustainability Governance Project (SGP)として英文でまとめ,それを東京大学へ提案しました。東京大学は,12名から構成される国際第三者評価委員会委員(中国,韓国,デンマーク,タイ,スイス,スウェーデン,エストニア,フィリピン,インド,アメリカ,ドイツ,日本)を設置して,応募プロジェクトを審査,その結果,北海道大学,京都大学,大阪大学および茨城大学の提案が採択されました。爾来(じらい),参加5大学で連携協議を続け文科省に全体構想を提案したところ,2月7日(火)の総合科学技術会議有識議員会合において満場一致の了承を得,「サステイナビリティ学創設は壮大にして重要,しかし困難な課題であり,今後とも,文科省が主体的に協力・関与していくことが重要である,とし,その上で,大変すばらしい構想に仕上がった。」とのコメントをいただきました。今後,本学はSGPを独自に実施しつつ,IR3Sを構成する他4大学と「サステイナビリティをどう具現するか」を合い言葉に連携していくことになります。
 ところで,サステイナビリティ学とはいったい何かということですが,このプロジェクトがまったく新しい学問領域を創成しようとする試みであることをまず確認しておきたいと思います。強いて日本語を当てはめれば「人類と他生命体の持続的共存基盤を考える科学」というところでしょうか。今後のプロジェクトの進展の過程で,どのような概念,いかなる呼称とすべきか,それを探ることも目的の1つです。いうまでもなく,本学が,わが国の環境・生態科学や食料生産科学などを含むフィールド科学のリーダーの1つであることは,その歴史,現在のアクティビティから,自他ともに認めていることです。そのような蓄積は,伝統の中のみならず,本学を現在担われている多くの方々の中にあり,それこそがこのサステイナビリティ学の発展の大きな力になると信じます。
 北大のみなさんのお力をいただいてSGP計画を発展させるには,学内の部局を横串で貫くような新しい仕組みが必要となります。そこで,本プロジェクトでは研究・教育協働メンバー(サポーター)制を導入することにします(図)。まず,本年4−5月に全学に向けて,研究・教育協働メンバーを募集させていただく予定です。このテーマに興味のある方,ご自身の研究がまさにそれにあたるとお考えの方は是非ご登録ください(詳細は後日全学にアナウンスいたします)。もとより,テーマが大きい割に資金の少ないプロジェクトであり,必ずしも十分とはいきませんが,メンバー登録をいただいた方には,本プロジェクトに深く関連するシンポジウムやワークショップ等への出席費用等を企画運営委員会で審査の上,可能な範囲で援助させていただきます。また,今後SGPが企画する大型外部資金獲得プロジェクト申請への参画をお願いしたいと考えています。
 SGPの事務局・研究室,Global Land Project(GLP)国際オフイスと情報交換室(サロン)を農学研究科東北に位置する由緒ある建物「半木造レンガ造りの建物(旧農学部図書館)」内に設置します。そこにプロジェクトの進展が一目でわかるようなポスター掲示を行い,協働メンバーの方が自由に出入りして,プロジェクトへの意見や情報の交換をいただけるようにしたいと考えています。さらにホームページを通した双方向の情報交換を可能にして,サステイナビリティ学サロンのような雰囲気の中でこの全学的プロジェクトを進めたいと思います。なお,SGPは全学横断的プロジェクトですので,創成科学共同研究機構の戦略重点プロジェクト部門に設置いたします。また,国際戦略本部強化事業「持続的開発」とも密接な連携をはかり,サステイナビリティ学の国際拠点化を目指します。
北海道大学におけるSGP実施組織とその運用およびアウトプット
北海道大学におけるSGP実施組織とその運用およびアウトプット
(SGP事務局)

前のページへ 目次へ 次のページへ