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平成18年度「魅力ある大学院教育」イニシアティブに採択される

 文部科学省の「魅力ある大学院教育」イニシアティブの審査結果が公表され,本学からは,人社系1件及び理工農系1件の合計2件が採択されました。
 「魅力ある大学院教育」イニシアティブは,現代社会の新たなニーズにこたえられる創造性豊かな若手研究者の養成機能の強化を図るため,大学院における意欲的かつ独創的な研究者養成に関する教育取組に対し重点的な支援を行うことにより,大学院教育の実質化(教育の課程の組織的な展開の強化)を推進することを目的として平成17年度から実施されました。全国の国公私立大学等から応募のあった129大学268件のうち,35大学46件が採択されました。本学での取組は,昨年度5件,今年度2件の合計7件となりました。

平成18年度採択
申請分野 教育プログラムの名称 研究科等・専攻名・取組実施担当者
人社系 応用倫理研究教育プログラム
文学研究科・思想文化学専攻
教授 中戸川 孝 治
理工農系 高邁なる大志を抱いたT型化学者養成
理学院・化学専攻
教授 鈴 木 孝 紀
 
●各採択プログラム紹介
申請分野名 人社系
教育プログラム名称 応用倫理研究教育プログラム
研究科等・専攻名
取組実施担当者
文学研究科・思想文化学専攻
   教授 中戸川 孝 治

 本事業は高等教育機能開発総合センターや学内の他研究科・学院(先端生命科学研究院・生命科学院,理学研究院・理学院,工学研究科,農学研究院・農学院など)との密接な連携のもとに,応用倫理各分野(科学技術倫理,研究倫理,環境倫理,生命倫理,企業倫理など)の研究者と専門的な実務家を養成することを目的としています。また,思想文化学専攻の倫理学講座以外の講座の参加のもと,倫理学・応用倫理学の素養を身に着けた思想文化学の研究者を養成することも本プログラムの目的です。
 本学の中期目標では「高度の専門性と高い倫理観を有し,様々な分野において活躍する指導的中核的人材を育成」することが掲げられていますが,本プログラムは「応用倫理研究教育センター」を設置することにより,こうした本学全体の目標の達成にも寄与するものです。
 具体的な方策としては,「応用倫理研究教育センター」のマネジメントにより,思想文化学専攻の博士課程学生を生命科学院,農学院,理学院等の他研究科(学院)のティーチング・アシスタント(TA)またはリサーチ・アシスタント(RA)として派遣するとともに,これらの研究科(学院)から博士課程学生をTAまたはRAとして受け入れ,研究科の枠を超えたTA・RAの相互派遣を確立します。(「学内インターンシップ」)この方策により,これまで個別に行われてきたTA,RAの相互乗り入れを組織的・継続的に行うことができるようになります。また,思想文化学専攻の倫理学講座以外の講座の参加により,宗教学的,芸術学的な視点を倫理教育の中に取り入れることが可能になるとともに,倫理学・応用倫理学の素養を身に着けた思想文化学の研究者を養成することも可能となります。さらに,海外の研究者によって構成されるアドバイザリー・ボードを設置し,院生をボードメンバーの所属機関に短期派遣することにより,教育研究プログラムの国際化をはかっていきます。
 以上のように,本プログラムの特徴は,他の研究科(学院)との密接な連携のもとでの「学内インターンシップ」の制度を確立すること,全学的に利用可能な「応用倫理研究教育センター」を設置すること,海外の研究者によって構成される国際アドバイザリー・ボードを設置することなどにあります。また,宗教学,芸術学,仏教学,インド哲学,中国哲学などの研究者が参加することにより,狭い意味での応用倫理にとどまらない,深い教養に裏づけされた応用倫理研究を展開することも本プログラムの大きな特徴です。

応用倫理研究教育プログラム

申請分野名 理工農系
教育プログラム名称 高邁なる大志を抱いたT型化学者養成
研究科等・専攻名
取組実施担当者
理学院・化学専攻
    教授 鈴 木 孝 紀

 理学院化学専攻では,博士課程において,アカデミック分野,民間企業研究者,いずれでも活躍できる人材の育成を強化するため,「T-type Chemists with Lofty Ambition」プログラムを提案し,社会のニーズに迅速に応(こた)え,自ら積極的に解決策を見出すことのできるT型人材育成を進め,特に,高邁な大志と高尚な倫理観を抱いて,高度情報化国際社会の中でサスティナブルケミストリーを拓(ひら)き,地球環境問題やエネルギー問題にチャレンジする人材育成を目指します。
"T-type Chemists with Lofty Ambition"
 3つの主要な取組のうち,A)Summer Student制度では,海外短期共同研究のための国際派遣,包括連携公的研究所や企業研究所への国内派遣により,国際性・独創性や技術力の涵養(かんよう)を主目的として応用力を養うこととし,その際,男女共同参画社会の観点から女性リーディングサイエンティストの育成を積極的に推進するため,選抜では男女を同数として女子学生に魅力ある仕組みを作ることとします。
 専攻内異分野交流を活用する,B)インターラボでは,専門分野の知識をベースに異分野の先端課題について共同研究計画を提案し,大学院生間で議論し批評し合い,学生相互による研究能力の評価を行うこととし,特に優れた独創的提案は表彰し,RAに採用し,その大学院生の責任で研究を実施する権限を与えます。
 以上は博士後期課程学生を対象とする取組みであり,修士課程学生には,充実した基礎学力を身につけさせるため,C)コアカリキュラムを整備して徹底的なスクーリングを行うこととし,英語による授業を拡充し,広い分野について「基礎先端講義」「先端講義」を選択必修科目として開講して,統一的な成績評価基準の導入を検討し,併せて,社会が求める化学者像を理解し,実社会のニーズに即応して取組む力をつけるため,トップ企業人や公立研究所から講師を招き,より充実した「産業・実学特別講義」を開講することとします。これらの教育プログラムを通じて,大学院生は,たとえば「持続可能な開発」に貢献する化学の必要性や,現在活発に発展している学際領域分野,今後の研究分野の動向などを,より早い段階で認識することが可能となります。
T型化学者養成の為の具体的な教育取組プログラム
(学務部教務課)

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