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法科大学院模擬裁判の実施

 体験入学の日と重なった7月31日(月)13時から法学部9番教室において法学研究科法律実務専攻(法科大学院)の学生による模擬裁判が昨年に引き続き本年も実施されました。法科大学院の最終学年の学生たちが,裁判官,検察官,弁護人,さらに犯人役や証人役も演じ,実際の刑事裁判の一連の流れをシミュレーションするというものです。現職の裁判官,元検察官,弁護士である法科大学院の実務家教員3名が監修した,限りなくリアルに近いものです。この日は9番教室もセットを用いた法廷に様変わりし,裁判官役は法服を着用,検察官役,弁護人役もスーツに身を固め,学生たちはその成果を示すべく汗だくになってそれぞれの役割を演じました。
 平成16年にスタートした法科大学院制度の大きな特色のひとつに,実務を視野に入れた教育ということが挙げられます。理論的な教育と実務的な教育をバランスよく充実させ,学習効果を高めようというもので,模擬裁判もその一環をなすものです。
 先に「それぞれの役割を演じた」と書きましたが,決して台本に基づいてセリフを空覚えしたものではなく,打ち合わせは検察官役,弁護人役がそれぞれ独立して準備しており,模擬裁判の場では,何がどう出るか,だれにも予測がつきません。例えば,証人尋問で,相手方が不適切な質問をすると直ちに,「異議あり!」と声があがります。これに対して裁判官役はこれを却下するか,異議を認めるかの判断を即断せねばならず,その意味で,一番ハードな役割です。もちろん,検察官役,弁護人役もその理由を求められることもあり,気は抜けません。
 取り扱った事件は,お金に困った被告人が仕事の同僚にナイフを示し,現金6000円を奪ったというもの(検察側の主張)で,弁護人側は,「被告人は脅してはいない,ただ単に借りただけだ」ということを主張して,証拠調べ,証人尋問が行われました。傍聴席には,今回の模擬裁判には参加しなかった法科大学院生をはじめ,教員,オープンキャンパスに参加した一般客,一般学生が陣取り,興味深く,傍聴していました。彼ら傍聴人にはアンケート用紙が配られ,有罪・無罪,それぞれの理由を記すことができ,模擬裁判所の判断とは別に傍聴人の意見も集計されました。
 司法が身近に感じられる企画は今回も大成功であったといえましょう。

裁判官の面前で起立して尋問を受ける被告人役の学生
裁判官の面前で起立して尋問を受ける被告人役の学生
(法学研究科・法学部)

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