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2006年度スラブ研究センター夏期国際シンポジウム開かれる

 7月6日(木)・7日(金)に,スラブ研究センター夏期国際シンポジウム「スラブ・ユーラシアへの視線:変化と進歩」が,センター大会議室で開かれました。このシンポジウムは,21世紀COEプログラム「スラブ・ユーラシア学の構築」(代表:家田修)主催のもと,科学研究費補助金基盤研究A「ユーラシア秩序の新形成:中国・ロシアとその隣接地域の相互作用」(代表:岩下明裕)の支援を受けて,企画されました。
 今回のシンポジウムでは,ロシアを始めとする旧ソ連空間を国際関係の上で再定義するべく,いわば「外」や「周辺」からスラブ・ユーラシア地域を取り上げようと考えました。世界各地からスラブ・ユーラシア地域の国際関係にかかわる著名な専門家がセンターに集結し,「ロシア外交・再考」「南アジアとスラブ・ユーラシア」「中央アジア:ユーラシアの十字路」「ユーラシア国境の協力と困難:中ロ関係の場合」「ロシアと東アジア」などのパネルで議論を闘わせました。国内も沖縄を含むほぼ全国からが参加者が集い,普段は当センターから縁遠い,中国学者,インド学者,戦略研究者も多数参加しました。すべてのセッションで中国の問題がとりあげられ,中央アジアや上海協力機構といったテーマが南アジアや東アジアのセッションでも話題となりました。ユーラシア地域の国際関係をとりあげるとき,もはや1つの地域専門家のみを集めて会議を行っても不十分だということに今回の参加者みなが気づいたようです。シンポジウムの前日に打ち上げられた7発の北朝鮮のミサイルは,当然のごとく参加者たちの間でも議論されましたが,これがイランの核開発問題に対する国際社会の対応ともリンケージし,日米中ロが「団結」を示した国連安保理決議やG8声明など様々なインタラクションを呼び起こしたのをみるとき,この種のスタンスを大きく構えたシンポジウムの意義は今後,ますます高まるでしょう。主宰した個人としては,北朝鮮の核ミサイル以上に,シンポ終了直後に起こった200名が亡くなったムンバイの列車同時爆破テロの方がはるかに衝撃的でした。近年,平穏になりつつあったインドとパキスタンの間が再び緊張しないことをただ祈るばかりです。

シンポジウム集合写真 スラ研では初めてのインド/パキスタン・セッション
シンポジウム集合写真 スラ研では初めてのインド/パキスタン・セッション
(スラブ研究センター)

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