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第9回北大フロンティア・セミナー開催

 8月24日(木)東京新宿区の飯田橋レインボービルにおいて,第9回「北大フロンティア・セミナー」を開催しました。
 今回の講師は,創成科学共同研究機構・流動研究部門環境系の安住薫助手です。テーマは「海の汚染をホヤに聞こう−ホヤの遺伝子発現を指標にした海洋汚染検出法の開発をめざして」と題して1時間あまり「ホヤ」を使った取組が紹介されました。
 人類が作り出した大量の化学物質で地球の環境汚染は進んでおり,特に水環境に排出された化学物質の多くは最終的に海洋に蓄積されていきます。海洋の生態系では有害な化学物質は食物連鎖によって上位の生物に濃縮され,生殖異常,免疫低下,奇形等の深刻な問題が生じています。
 ホヤは世界各海域に生息しており,固着生物なので海に排出される様々な科学物質に常時さらされています。このことから研究室では「ホヤ」という脊椎動物の祖先にあたる動物を指標動物として海洋汚染のモニタリングシステムを作ろうとしています。
 研究室ではホヤ遺伝子全体の85%である22,000個のDNAを1枚のスライドガラスにスポットした「ホヤDNAチップ」を世界で初めて作成しました。
 この遺伝子の変動を調べることにより,野生のホヤがどのような化学物質に暴露しているか推定できる等,海の汚染状況をホヤに教えてもらう研究について説明されました。
 また,ホヤは食べておいしく飲んで快適であること,タウリン・DHAが豊富に含まれている優良健康補助食品として活用されいることが紹介され,実際にホヤ乾燥粉末が参加者のみなさんに配られ,味見をしていただきました。
 9回を数えるこの講演会で,初めての女性研究者である安住先生の熱弁とも相まって,始終和やかな講演会となりました。

講師の安住薫助手 説明を熱心に聞く参加者
講師の安住薫助手 説明を熱心に聞く参加者
ホヤ乾燥粉末の味は?
ホヤ乾燥粉末の味は?
(学術国際部研究協力課)

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