この度,谷口博名誉教授が北海道功労賞を受賞しました。
この賞は,昭和44年に北海道開発功労賞として設置され,平成10年に北海道功労賞と改称しました。技術文化,産業,学術,教育などの分野で長年にわたり献身的な努力を重ね,優れた識見と卓越した指導力をもって,北海道の発展に大きく貢献された方々を顕彰するものです。
氏は,昭和28年3月北大工学部機械工学科を卒業後,三菱日本重工業(株)横浜造船所に勤務し,主としてボイラの設計に携わってきました。昭和38年1月からは北大工学部機械工学科の助教授として赴任し,また昭和54年4月からは教授として熱機関学第一講座を担当し,後進の指導に当たるとともに,火炉内の伝熱解析や熱機関サイクルの効率向上に関する研究で多大の成果をあげました。前者に関しては,ふく射伝熱解析の分野で先端的かつ独創的な研究を行い,従来,経験的な実験式を組み込んだ予測手法しかなかった火炉内の伝熱解析の分野にモンテカルロ法を導入し,複雑な燃焼場でのガス温度分布や壁面への熱流束分布を求める手法を確立しました。そして,熱機関サイクルの効率向上に関する研究では,熱供給ガスタービンプラントやヒートポンプ・ボイラシステムといった高効率の熱システムを提案し,特に後者は札幌駅北口地区の地域熱供給プラントとして実用化されました。また,ヒートポンプ・ボイラシステムの開発にあたり,これまで動力源として利用できなかった低圧蒸気から高効率に動力を取り出す,スクリュー式スチームエンジンの開発に成功し,各種産業界に広く導入がはかられています。
これらの業績は高い評価を受け,空気調和衛生工学会論文賞,日本工業炉協会熱技術賞,日本熱物性学会賞,日本燃焼学会功労賞,米国機械学会燃料燃焼部門賞を受賞しました。そして,平成10年3月にはこれらの業績により,北海道科学技術賞を受賞しました。
また,苫小牧公害対策委員会委員として北海道地区の環境問題対策にも力を尽くされるとともに,苫小牧東部工業地帯の工場に高性能工業炉の導入技術支援を行い,CO2削減,環境浄化に寄与し,平成13年11月に苫小牧市貢献賞を受賞しました。
略 歴 等 |
昭和28年3月 |
北海道大学工学部卒業 |
昭和28年4月 |
三菱日本重工業(株)横浜造船所入社 |
昭和38年1月 |
北海道大学工学部助教授 |
昭和54年4月 |
北海道大学工学部教授 |
平成6年4月 |
北海学園大学工学部教授 |
平成13年3月 |
昭和60年6月 |
中国浙江大学名誉教授 |
平成6年4月 |
北海道大学名誉教授 |
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