12月7日(木)東京都新宿区の飯田橋レインボービルにおいて,第11回「北大フロンティア・セミナー」を開催しました。平日にもかかわらず,首都圏などで活躍している北大OBやOGの皆さんをはじめ多くの方々に集まっていただきました。
今回の講師は,医学研究科副研究科長の安田和則教授です。テーマは「関節損傷の治療における新しい戦略:−アートとサイエンスの融合によるイノベーション−」と題して講演していただきました。
本題に入る前にスライドで簡単な自己紹介をされましたが,今年のプロ野球日本一になった日本ハムファイターズのチームドクターを務めた際のエピソードが紹介され,参加者からは驚きの声が上がっていました。
関節を構成する軟骨および靱帯(じんたい)組織については自然修復・再生されないことが知られております。高齢化やスポーツにより膝(ひざ)の関節や靱帯に傷害を発生する機会が多くなっている現代社会においてはこれらの治療法の開発は極めて緊急な課題となっております。
安田先生はこれらの治療方法として従来どおりの方法に固執することなく,常に新しい材料および治療法についてかなり以前より研究・実験を進めてこられました。
人工関節素材については,金属を用いるのが一般的ですが,先生は早くからセラミックの応用について研究されてこられました。既存の概念にとらわれず,工学的見地から材料試験等も実施するなど独創的な取り組みをされてこられました。また,靱帯損傷の治療法として,新たな膝靱帯再建術を開発しました。現在これらの臨床データについても着実に蓄積されていることについて説明されました。続いて,これからの関節治療における新しい戦略として,新しい素材による人工軟骨の開発,人工軟骨を利用して正常軟骨再生を誘導する方法,ユニークな人工靱帯の開発についての説明が動画を交えた画像とともに紹介され,参加者の関心を集めていました。
時折ユーモアを交えた滑らかな講演でしたがそれでも予定の時間を大幅に超過するほど内容は盛りだくさんで,参加者にとってはとても有益なものとなりました。我々の身近な膝の傷害に関するテーマだったこともあり,講演後の質疑応答はとても活発に行われました。参加者の間からはもっと詳しく話を聞きたいとの声も多く聞かれ,大変有意義な講演会となりました。
○第12回北大フロンティア・セミナーのお知らせ
日 時) 平成19年2月15日(木)18時30分から
場 所) 東京都新宿区(飯田橋レインボービル(予定))
講 師) 石森 秀三(観光学高等研究センター長・教授)
テーマ) 「観光立国時代における新しい観光学の創生
−観光学の頂点をめざす北大の新展開−」 |
[問い合わせ先]学術国際部研究協力課(内線2057) |
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熱心に講演に耳を傾ける参加者 |
講師の安田和則教授 |
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動画を取り入れた説明 |
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(学術国際部研究協力課) |
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