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北方生物圏フィールド科学センターで「中学生・高校生のための臨海実習 北海道の磯の生き物たちとその関係を調べる」を開催

 北方生物圏フィールド科学センター臼尻水産実験所(函館市臼尻町)では,8月11日(土)から12日(日)に「中高生のための臨海実習 北海道の磯の生き物たちとその関係を調べる」を開催しました。昨年の実習は,日本学術振興会の委託事業「ひらめき☆ときめきサイエンス 北の海の研究最前線」でしたが,今年は地域マリンビジョン協議会事務局の要請と科学技術振興機構の後援を受けての事業となりました。
 昨年のテーマ「魚類の繁殖」から一新して,今年は「2007年8月11日の臼尻の磯にいる生物の種類とそれぞれの総量を記録する」を目標に,実習生15名が臼尻実験所の大学院生ら(8名)の助力を受けて,じりじりとした暑い陽射しのもと,実習にチャレンジしました。
 生態学についての簡単な講義の後,班分けしてシュノーケリングのスキル学習に臨み,マスターした班から方形枠を使った海藻と無脊椎動物の採集,砂地と藻場での地曳き網を全員が体験しました。夕方までに標本を集め,実験室で顕微鏡を使って,図鑑と首っ引きで種査定しましたが,半分を終えたところで1日目は終了しました。2日目は,カイメンに産卵するイソバテングという魚の卵探しをシュノーケリングで行った後,前日の続きの種査定をして,種毎に個体数を数え,重量を測定する作業をしました。
 実習生は,2日間海の生き物漬けになり,ぐったりするかと思いきや,最後の成果発表会も大学院生の助言を受けながら,考察までしっかりと加えて,真剣にやり遂げました。臼尻町4kmの海岸線にムラサキインコガイが13,000万個体,アカモクが43トンも生えていることなどが分かり,生物相を卒業研究のテーマとしている実験所の学生にとって,役立ちそうな興味ある成果も得られました。
 今回の実習には,北大のAO入試受験予定の高校生や漁業後継予定者が連続参加するなど,臼尻水産実験所で毎年実施する様々な地域開放事業が,海の科学の裾野を拡げる役割を着実に果たしていることを実感でき,本当に充実した2日間となりました。
砂地では,12種類の魚類が採集され,それぞれの割合はグラフの通りです 地曳き網は,カレイをたくさん獲っちゃうね
砂地では,12種類の魚類が採集され,それぞれの割合はグラフの通りです 地曳き網は,カレイをたくさん獲っちゃうね
おい,そのウニは標本だぞ,測定は終わったのか  
おい,そのウニは標本だぞ,測定は終わったのか  
(北方生物圏フィールド科学センター)

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