2007(平成19)年12月20日,農学研究院が保管してきた1907(明治40)年から1954(昭和29)年までの農学部教授会議事録11点ほか合計17点の重要文書を,大学文書館に移管しました。大学文書館が部局等の教授会議事録を歴史的資料として保存するのは,初めてのことです。また,全国の大学アーカイヴズにおいても,極めて画期的な例と言えます。
1907(明治40)年は札幌農学校が東北帝国大学農科大学として昇格した年に当たります。今回移管を受けた文書は,北海道帝国大学を経て,戦後新制大学に切り替わるまでの,帝国大学期のものです。教授会議事録にはさまざまな学部運営に関わる協議・決定事項が記録されています。例えば,旧制下では帝国大学への進学者は基本的に大学予科及び高等学校卒業者に限られていましたが,教授会議事録から,他にも進学ルートが形成されていたことが分かります。また,正規学生以外の資格で農学部に学んだ多くの留学生がいたこと,戦時期の思想統制・取締の実態などについても詳細な記録があります。
大学文書館では移管文書の重要性に鑑み,マイクロフィルムカメラ撮影によって副本を作成するなど資料保存に万全を期すると共に,大学史に関する研究・調査を進め,農学研究院長・事務長はじめとする関係各位の英断にお応えできるよう勉めてまいります。
今回移管を受けた文書に限らず,戦前の文書は紙の破損や記録方法(インク,ガリ版等)の脆弱といった資料劣化・損傷の問題を抱えており,重要な文書,古い文書であるほど資料保存の方法に工夫が必要となります。大学文書館では,こうした大学関係文書・資料の移管を呼びかけております。資料に関する情報等がありましたら,ご一報いただきますようお願いいたします。 |
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教授会議事録 |
第一回教授会(1907年9月17日) |
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(大学文書館) |
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