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徳富蘇峰直筆の扁額他を水産学部で受贈

 1月19日(月),水産学部では,徳富蘇峰直筆の扁額他1点を,故藤井武治名誉教授のご遺族から寄贈いただきました。
 故藤井武治名誉教授は,昭和19年9月に当時の函館水産専門学校(北海道大学水産学部の前身)旧制遠洋漁業科を卒業され,兵役(海軍中尉)・復員庁・民間勤務などを経て,昭和23年4月から昭和62年3月までの39年間の永きにわたり北海道大学水産学部に勤務され,この間の約34年を学部附属練習船「北星丸」及び「おしょろ丸」の船長職を務められました。
 この度,寄贈いただいたのは,徳富蘇峰直筆の扁額と,複製の色紙の2点です。
 扁額「以和為貴(和を以て貴しと為す)」は,蘇峰89歳の作で,藤井船長のご結婚を祝して贈られた書とのことであり,色紙「一片丹心渾忘吾(一片の丹心,渾て吾を忘る)」は,複製品ではありますが,ごく限られた関係者にのみ配られたものとのことであり,蘇峰95歳の昭和32年10月23日の筆にして,この9日後の11月2日に逝去されたため,辞世の句,そして絶筆となったものであります。
 藤井船長は,復員庁時代に特別輸送艦「巨濟」に乗艦しており,この時期に,同艦に乗艦していた徳富蘇峰の孫である徳富敬太郎氏と知り合い,固い絆で結ばれた終生の友としてのお付き合いが始まったとのことです。この扁額は,蘇峰が可愛い孫である敬太郎氏の懇願に応じて,敬太郎氏の無二の親友である藤井船長のために筆をとったものとのことです。
 今後,水産学部では,これらの受贈品を大切に保管し,本年に就航100周年を迎えたおしょろ丸の記念行事でのお披露目や藤井船長の後輩である在学生たちの教育資料として活用して参ります。
 
色紙「一片丹心渾忘吾」
色紙「一片丹心渾忘吾」
扁額「以和為貴」
扁額「以和為貴」
(水産科学院・水産科学研究院・水産学部)

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