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総合博物館開館10周年企画展示「生物多様な部屋」
関連講演会「分類学の伝統を継承する若者たち」が開催

 ただいま総合博物館で開催中の開館10周年企画展示「生物多様な部屋」に関連して,「分類学の伝統を継承する若者たち」と題する講演会が8月28日(金)に開催されました。平日にもかかわらず,一般の方々がたくさん来聴されました。
 「生物多様な部屋」は,副題の「−北大の分類学の系譜−」が示すように,札幌農学校の開校1876年(明治9年)以来,現在まで130年以上にわたって行われてきた分類学の成果を,歴代の研究者が研究に使った様々な標本を展示し,研究者の系譜をたどることで明らかにすることが目的です。そしてさらに,この系譜は北大の若者たちに引き継がれ,大学院生たちによって多様な生物群に関する分類学の研究が現在進行形で行われていることを示そうと意図されたものでもあります。そこで,自分たちの研究を一般の方々に易しく説明し,なぜ分類学という学問にハマッたか,分類学はどこが面白くて,どのような成果が得られ,それはどんな意義があるのかを,現役大学院生たちに語ってもらおうと講演会「分類学の伝統を継承する若者たち」が企画されました。

生物多様な部屋
生物多様な部屋講演会
 
 当日の講演者は理学院と水産科学院の博士前期・後期課程大学院生総勢7人,講演内容は,単細胞の藻類から無脊椎動物,魚類,そして恐竜トリケラトプスに至るまで多岐にわたり,講演スタイルも一般受けを狙ったテンションの高いものから,かなり専門的で淡々とした講演まできわめて多様でした。講演終了後に設けられた総括質疑応答の時間はかなりの盛り上がりを見せました。大学院生たちが普段研究を発表する場である各種学会では,専門家が聴衆ですので,出される質問はだいたい予想可能なのですが,今回の講演会は一般の方々を前にしたもので,だいぶ勝手が違ったようです。一般の方々から予期せぬ質問が相次ぎ,大学院生たちは回答に四苦八苦していました。
講演の様子 講演の様子 講演の様子
講演の様子
 
 大学が一般社会から乖離しないためにも,大学で行っている研究を一般の方々に理解していただかねばなりません。そのためには自分の専門の研究を社会の中に位置づけ,人々が理解できるように加工して説明する必要があります。自分の研究は一般社会にとってどんな意味があるのか,何の役に立つのか,あるいは立たないのか……。自分の専門が基礎研究であるなら,現在直接役に立たないそのような研究を社会にどう説明するか。その意義をいかに理解してもらうか……。今回の講演会は,参加された一般の方々にとって新しい知識を得られた場でありましたし,講演した大学院生たちにとっても,研究と社会の関係を考える場としてきわめて意義深いものであったのではないでしょうか。
ベストポスター賞
 
(総合博物館)

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