訃報

名誉教授 香城 日出麿(こうじょう ひでまろ) 氏(享年81歳)

名誉教授 香城 日出麿(こうじょう ひでまろ) 氏(享年81歳)

 香城日出麿北大名誉教授は6月30日,膵臓がんで療養中に肺炎のため逝去されました。享年81歳でした。香城先生の北大での長年の研究と教育の努力に感謝を述べたいと思います。
 香城先生は昭和5(1930)年5月24日北海道に生まれ,昭和28年3月北海道学芸大学(現北海道教育大学)札幌分校を卒業され,同年4月札幌市立創成商業高等学校(現札幌啓北商業高等学校)教諭として教鞭を執られました。
 その後北大大学院に入り昭和32年修士課程修了,昭和38年博士課程を単位取得退学されています。学位論文のタイトルは「共形キリングベクトルを許容する定曲率リーマン多様体の部分多様体の特性」です。
 昭和42年に北大の理学部講師に就任されています。主に当時の教養部で全学教育を担当されています。昭和42年は私が北大にいた頃ですが,残念ながら香城先生から数学を教わることはありませんでした。その後昭和42年に理学部助教授に,さらに昭和60年には北大理学部教授に昇任されました。平成6年(1994年)に停年で退官されましたが,私も当時あった教養部の「資料室」で良くお会いしました。温厚で学生の教育にはいかにもベテランという感じでした。
 香城先生は学内では,将来計画専門委員会や予算委員会など重要な委員会の委員や委員長を務めるなど,大学行政へも多大の貢献がありました。また日本数学会の評議員を務められています。 香城先生の専門は微分幾何学(とくにリーマン空間の部分空間)でした。昭和42年北大教授に昇任された桂田芳枝北大名誉教授(故人)の下で,活発な研究活動をされています。ケーラー空間や定曲率空間に含まれる超曲面が研究の中心ですが,桂田先生のお仕事の拡張をいろいろされています。桂田先生,永井玉夫先生との共著の129ページもの論文が出版されました。この論文に関与した桂田先生も永井先生も,そして香城先生まで亡くなったことは悲しいことです。佐々木空間に関する論文は1987年に出版されています。
 このような微分幾何学における研究業績,教育と大学行政上の貢献が認められて,北大大学から名誉教授の称号が授与されました。
 香城先生のご冥福をお祈りします。

(理学院・理学研究院・理学部)
文責(吉田知行)


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