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| 公共政策大学院では,9月11日(土)から13日(月)までの3日間,富良野自然塾が主宰する環境教育プログラムを集中講義「公共経営特論U」の一環として開講しました。参加者は,担当教員として当大学院の深見正仁特任教授と地球環境科学研究院の藤井賢彦特任准教授,また,公共政策大学院と地球環境科学院,京都教育大学より合計25名の学生が参加しました。 |
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1日目
開講式では,倉本聰塾長から,「公共政策を目指す君たちへ」と題したお話しがあり,「知識とは,どのくらい重要なのだろうか」という問いが投げかけられました。知識とはあくまでも参考書のようなもの。それより,川に飛び込んで流れをみるといったような,自分自身が体験したもののほうが重要なのではないかというお話しをいただきました。「五感」を使って体験すること,また,一方的に教えられるのではなく自分の頭で「考える」こと。振り返ると,この2つが自然塾で体験した各プログラムの根底に流れていたように思います。
倉本塾長のお話しに続いて,1日目は野外での環境教育プログラムをいくつか体験しました。目隠しをして裸足になり,パートナーの手を頼りに石や砂を敷いた道を歩く「裸足の道」。視覚を頼ることができないなか,心細さと人の手の暖かさを感じます。また,地球の構造を石で表した「石の地球」では,私たちが住む地表と大気の薄さを実感しました。そして,46億年の地球の歴史を460メートルの小道で表した「地球の道」。小川インストラクターのお話しを聞きながら,地球の長い歴史と人類が誕生してからの一瞬を身体で感じることができます。教科書では習ったような記憶があるけれど,知ったつもりで理解をしていなかったと痛感した体験でした。
その後,場所を屋内に移して林原副塾長による講義「環境問題概論」が行われました。このまま温暖化が進んだらどうなるのか? カトリーナ級の暴風雨が頻繁に起こるという予測を映像で見て,自然現象の恐ろしさを感じました。さらに,「あと3日しか生きられないとわかったら,何をしますか?」と副塾長より受講生に質問をいただきました。一番多かった回答は,「好きな人と,美味しい食べ物を食べる」というもの。自分が幸せを感じたときのことを振り返り,「人の幸せに必要なのはモノではなく,感動の共有である」というお話しに共感しました。その晩は,天の川が見えるほどの美しい夜空で,無数の星に誰もが感動し,夜遅くまで外で空を見上げていました。 |
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| 知識の重要性を受講生に問う倉本聰塾長 |
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2日目
翌日2日目には,森林生物研究所の有澤浩さんによる野外講義「富良野の森の生き物たち」を受講しました。森の中を歩きながら聞くお話しは,楽しくもスリリングです。特に,帰り道でトウモロコシを大量に含んだ出来たての熊の糞を見たときはドキッとしました。他にも,内に水分を多く含んだトドマツは「ドカーン,バリバリ」といった音とともに冬に「凍裂」を起こすといったお話しや,エゾマツは共生する菌の助けで成長するため,倒れた木の上に若木が生えるといった,森に関するお話しをいくつも教えて頂きました。実際に森の中を歩きながら聞くお話しも,まさに「五感」で学ぶ体験でした。
森でのフィールドワークに続いて,齋藤フィールドディレクターによる講義「富良野自然塾メソッド」が屋内で行われました。演劇集団である富良野塾から生まれた自然塾では,「表現(演劇)で伝える」ことを実践されています。伝えることには,話し方や間の取り方といった技術に加えて気持ちの強さとストーリーが必要です。また,環境問題を解決するには,40年後の自分の姿や孫のことを想像して,身近な問題として考えてほしいというお話しがありました。
2日目の午後は,バスで移動をして農耕体験と植樹を行いました。縦4メートル横6メートルほどの土地から,小さな熊手を使って根をとり耕していきます。想像以上に深く張った根や,掘りおこす度に現れる巨大なミミズや蟻の巣に閉口しながら,土とは様々なもので出来ているのだと実感しました。また,植樹では「カミネッコン」と呼ばれる植樹を助ける紙製の鉢に苗木をいれて植えました。1種類の苗だけでなく,3種類の苗を寄せて植えると互いが日の光を求めて早く成長するそうです。 |
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| 目隠しをして,裸足で自然を体感する「裸足の道」 |
「地球の道」では46億年の歴史を肌で感じた |
熊手を手に,腰を屈めて真剣に
根を掘り起こす受講生 |
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3日目,最終日
2日目の最後は,翌日行う環境教育をテーマにした発表について説明がありました。一人4分の時間をもらい自由に発表すると聞いて,思い思いの場所で構想を練る受講生たち。2日目の夜は,いつになく静かでした。
最終日の3日目は,「自ら考える」という自然塾の方針のもとに,各受講生が発表を行いました。「空」になって熊やジャガイモの相談にのった学生,「富良野自然塾ニュースのキャスター」になった学生,また富良野の土地に埋まっている「土偶」になった学生など,様々なものになりきって想像力豊かな発表が行われました。「想像することは理解することにつながる」という林原副塾長のお話しの通り,これまでになく自然の立場になって考えるきっかけとなったのではと思います。なお,こちらの発表は林原副塾長にも絶賛いただくほどの素晴らしいものでした。
また,3日間のプログラムの締めくくりとして,サッカー日本代表前監督である岡田武史インストラクターが登場されました。岡田氏は環境教育にも取り組まれており,幸運にも,岡田氏の富良野滞在と私たちの受講時期が重なって今回の講義が実現しました。受講生にとっては,大きな嬉しいサプライズとなりました。これまでのご自身の経験に基づき「過ぎたことや先のことを悔やみすぎず,今できることをしよう」と語られた岡田インストラクターのお話しに,どの受講生も真剣に聞き入っていました。
最後に,倉本塾長をはじめ,富良野自然塾の林原副塾長,齋藤フィールドディレクター,小川インストラクター,そしてサッカー日本代表チーム前監督の岡田インストラクター,細かいところまでご配慮いただいたスタッフの皆様,3日間多くの気づきをいただき有り難うございました。 |
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サッカー日本代表前監督の岡田武史氏の登場に
受講生一同が湧く |
岡田インストラクター,スタッフの皆さんとの
集合写真 |
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| (公共政策大学院) |