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総合博物館で第13回北海道大学教育GPセミナー
「看護学教育におけるOSCEの実際−市民の模擬患者と共に−」を開催

 総合博物館では,10月23日(土)に1階「知の交流」コーナーにおいて,札幌市立大学副学長の中村惠子先生を講師に迎え,「看護学教育におけるOSCEの実際−市民の模擬患者と共に−」と題し,平成20年度に教育GPに採択された,札幌市立大学「学年別OSCEの到達度評価と教育法の検討」の取り組みについて紹介していただきました。
 OSCEはObjective Structured Clinical Examinationの頭文字を取ったもので,「オスキー」と読み,「客観的臨床能力試験」と訳されています。札幌市立大学では,実践的な看護教育のために,また実習へ行く前の一種の緩衝材としてOSCEを実施しているそうです。特徴的なのは,札幌市立大学が掲げる「育てるOSCE」が,ただ学生を育てるだけではなく,教師を育てることにも繋がっているという点にあります。学生の看護実践能力の向上を目ざしたOSCEは,教授方法の見直しや臨床能力の向上など,看護教員のFD(Faculty Development)活動となっているということでした。
 講演の中では,模擬患者(SP:Simulated Patient)についての紹介が参加者の興味を惹いていました。札幌市立大学では,模擬患者は市民のボランティアから構成され,模擬患者を養成するためのコースも開催されています。養成コースは,SP養成コース(入門編)とフォローアップ研修コース(実践編)の2部構成となっており,1年半ほどかけて行われるということでした。OSCE(客観的臨床能力試験)は,学生1名に対し教員2名,模擬患者(SP)1名が一組となって行われます。模擬患者はシナリオに沿った演技をし,試験後は患者として実施された処置や対応について,学生に意見を述べる教育者としての役割を果たすことになります。一般市民の協力を得ることで,学生同士でのロールプレイでは得ることのできない緊張感が生まれると同時に,患者への態度やコミュニケーション能力を高めるよい機会となっているということでした。
 参加者からは,模擬患者はいつ募集されるのかといった質問や,持病を持つ人が同じ病状の患者を演じることはできるのか(答えとしては,思い入れが強くなるためにできないとのこと)など,活発に質問が寄せられていました。市民参加型の教育について知ることのできた,大変興味深い講演でした。

 
講演する中村先生 会場の様子
講演する中村先生 会場の様子
 
(総合博物館)
 

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