総合博物館では,10月30日(土)に1階「知の交流」コーナーにおいて,高等教育推進機構の池田文人 准教授を講師に迎え「博物館で個性が活かせる授業を創ろう!」と題し,フィンランドの教育法を実際に体験し学ぶためのワークショップを開催しました。第1回目はキノコを題材に用い,フィンランドの教育方法の一つである「分類」に取り組みました。
参加者がお互いに初対面だということもあり,最初はアイスブレーキングとして,それぞれ背中に付けたカード(本人はどんな絵が付いているかは知らない)を周囲の人に質問して当てるゲームが行われました。ゲーム終了後はいったん1つのテーブルに集まり,それぞれの背中に付けられていたカードを並べ,全員で分類を行いました。カードには,リンゴやバナナ,望遠鏡,地球など,様々な絵が書かれており,参加者は「丸いもの」や「果物」,「宇宙に関するもの」などの分類項目を挙げていました。
次に,4人1組の3グループに分かれ,12種類のキノコのカードをどのように分類することができるか,分類方法について話し合いました。その後,新たに詳細な解説が記されたキノコのカードが配られ,参加者は再度分類を行いました。2回目のカードには,1回目には記されていなかったキノコについての詳しい説明が記されており,参加者は新たに得た知識に基づいて,1回目よりも分類項目を増やすことができたようでした。
2回の分類が終わった時点で,1回目と2回目の分類作業の違いについて先生が問うと,知識に縛られず,創造力を働かせることができた1回目の作業の方が楽しかったという答えや,2回目の方が分類項目が増えたという答えがあがりました。池田先生によると,フィンランドの小学生たちは,森で拾った木の葉などを初めは何の知識も持たずに分類し,学年が上がるにつれて調べ学習をし,新たな知識を用いて分類を行うそうです。どちらの作業にも,それぞれに学びの特徴や意義があるということでした。
最後にまとめとして,子供たちにキノコの分類を通して何を学んでもらいたいか,その目標と手法が話し合われ,様々な意見,提案が出されました。会場には,参加者の他に見学者の方もおられましたが,皆,興味深そうに参加者の机を覗き込み,熱心に先生のお話に耳を傾けていました。フィンランド式の授業を体験し,自身で新たな教授法について考えるという,充実したワークショップとなりました。 |