北の息吹  (43)

ハナイカリ(Halenia corniculata

ハナイカリ
2008.8.10 襟裳岬
 数ある野草の中でも,この花の形は特別変わっている。夏から初秋に咲く淡黄色の花は深く4裂し,下部が長く伸びた距(きょ)となって突き出すため,船のいかりに似た形となり,これが和名の由来となった。春に咲くメギ科の植物にもこれと似た形の花を咲かせるものがあり,こちらの方はイカリソウと呼ばれる。野生のハナイカリを見てみたいと思い続けてきたが,北大に移って間もない頃,勇払原野の海岸地帯に咲いているのを見つけて思いを果たした。信州では高原の花として知られるが,北海道では海岸地帯で普通に見られる植物である。
理事・副学長 岡田 尚武

前のページへ 目次へ