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Regional Workshop on Collaboration between Human and Animal Health Sectors on Zoonoses Prevention and Control
(人獣共通感染症の予防・制圧に向けた医学ならびに動物衛生関係機関の協力に関する地域会議)の開催

 12月16日(木)から18日(土)の3日間に渡り,世界保健機関(WHO)の主催,北海道大学,国際連合食糧農業機関(FAO),国際獣疫事務局(OIE)及び東南アジア諸国連合(ASEAN)の共催により,標記会議が獣医学研究科講義棟にて開催されました。同会議には,アジア13ヵ国の保健省および農務省高官,国連や研究機関の専門家が参加し,WHO,FAO 及びOIE が提唱する人獣共通感染症対策の新しいコンセプトである「One Health」の普及とその具現化に不可欠な保健と農務部門の協力メカニズムについて議論されました。また,リスクコミュニケーションに関する机上演習と検査室診断の重要性について講演が行われました。
 本会議では,インフルエンザの世界的権威でもある人獣共通感染症リサーチセンター長 喜田宏教授が,感染が継続している高病原性鳥インフルエンザとパンデミックインフルエンザの制圧と予防対策の基本を強調するとともに,そのリスク再評価と家禽に対するワクチン使用の是非などについて基調講演を行い,参加者との間で活発な議論が交わされました。
 また,各国参加者の間で,保健と農務部門の協調メカニズムに関する経験を共有するとともに,これをさらに強化するためのアクションプランについて議論しました。議論の結果をConclusion ならびにRecommendationとして採択しました。
 喜田教授は,閉会の挨拶で,本会議が美辞麗句のConclusionとRecommendationに終わるのではなく,人獣共通感染症克服に向けた,WHO, FAOとOIEの国際機関ならびにASEAN諸国の連携協力のスタートであることを強調しました。WHOの呼びかけで保健と農務関係者が一同に会する会議は世界でも初めてであり,人獣共通感染症制圧に向けた第一歩が北海道で踏み出されたことに極めて意義深いものがあるといえるでしょう。
 最終日に参加者は,本学人獣共通感染症リサーチセンターの見学を行い,大規模なBSL−3(バイオセーフティレベル3)研究施設と最先端の研究機器に感心するとともに,人獣共通感染症の監視体制(グローバルサーベイランス)と,その克服に向けた研究・教育の展開に高い期待を表明していました。

 
各国からの参加者 会議での佐伯総長挨拶
各国からの参加者 会議での佐伯総長挨拶
喜田教授講演での質疑応答 人獣共通感染症リサーチセンター見学
喜田教授講演での質疑応答 人獣共通感染症リサーチセンター見学
 
(人獣共通感染症リサーチセンター)
 

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