講演のタイトルは,「ノーベル賞を受賞して−Magical Power of d−Block Transition Metals−」。講演要旨は次のとおりです。
「2000−2010の10年間で触媒を対象とする研究で9人(3人×3回)の研究者がノーベル化学賞を受賞している。これは,ノーベル財団がこの分野を重要と認めている証拠である。
私はC−C結合のクロスカップリング反応において中心的触媒としてTransition Metal(遷移金属)パラジウム(Pd)を使う。ヘック先生は水素(H)を使い,鈴木先生はホウ素(B)を使う。クロスカップリングによる有機合成は,道半ばを過ぎたところで,まだまだこれから発展すると考えている。
我々有機合成化学者は,何でも有機合成で作りたい,さらに目標物を高効率に高収率で作りたいと考える。化学合成において不要物を産まない触媒は有効である。私の使うパラジウムも数百万回などすぐ回る。効率の高い触媒である。そこで,触媒を使うと,Efficiently(効率的),Selectively(選択的),Economically(経済的) ,Safely(安全)である。すなわち,YES(ES)→『Green Chemistry』である。
元素周期表は10〜12ある有機元素を除くとほとんどが金属であり,その半分がTransition Metals(遷移金属)である。私は,有機合成反応において全ての元素を考慮したらどうかと考える。有害なものを除くと70位であり,そこから得られる2元の組合せは約5,000組もある。『Two is Better than One!』である。私は,大学院生の時にこの組合せを全てレゴゲームのようにカップリングできないか考え始めた。