北の息吹  (52)

テシオコザクラ (Primula takedana)

テシオコザクラ
2009.5.30 北大天塩研究林
 生育地が道北の蛇紋岩地帯と石灰岩地帯に限定されており,特に北大天塩研究林に多いという意味で,オオバナノエンレイソウと並んで北大を代表する花であろう。同様な場所に生えるテシオソウは,大型のオゼソウと同一種との見解が一般的になったようなので,北大の花とは言い難い。国内の白いサクラソウは3種あり,本種と早池峰山のヒメコザクラは共に超塩基性岩地帯に分布しているが,花が平開するヒメコザクラと違って本種は平開しない。東北地方の日本海側高山にあるヒナザクラは,花を斜めに開いて分布域が広く,月山などでは雪田跡にイワイチョウと混合した大群落を作って見事な景観を呈する。
前理事・副学長 岡田 尚武

前のページへ 目次へ