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学内キャンパス芝生へバイオガス消化液散布

 北方生物圏フィールド科学センター生物生産研究農場では乳牛や豚などの家畜を教育研究で飼養していますが,家畜の糞尿はバイオガスプラントで処理しています。酸素の無い嫌気性のタンクで,家畜の糞尿は微生物によって発酵・分解され,メタンガスを発生します。メタンガスはエネルギーとして回収しますが,発酵終了後の残渣物である消化液には肥料成分が多く含まれているため,農場内のトウモロコシ畑や牧草地などに圃場還元しています。消化液は臭いが少ないのが特徴です。
 本学では中央ローンをはじめとして,学内キャンパスには芝生が点在し,景観形成や学生が快適なキャンパスライフを過ごすための空間となっています。一般には肥料を与えてよく刈り込むときれいな芝生ができます。また,人の踏圧で芝生土壌が固結してきますので,時々カッターなどで芝生に切れ目を入れ,土壌に新鮮な空気をいれ微生物の活動を促し,土壌に活力を高めることが,美しい芝生の維持管理には必要です。しかしながら,学内の芝生維持管理費が限られていることから,キャンパスの芝生には肥料が与えられず,あちらこちらで芝生が痛んでいるのが現状です。
 そこで,キャンパス内における資源循環を図りつつ,学内キャンパス環境の向上を達成することを目標に,農場のバイオガスプラントから出る消化液を芝生の肥料として利用することを考えました。カッターで芝生に溝を切り,その溝に消化液を注入する作業機械を農場で独自に開発し,その試運転を11月10日(木)にモデルバーン前の芝生で行いました。消化液を芝生表面に散布するのではなく,溝に注入するため,臭いの拡散もほとんどありませんでした。今回の試作作業機械はさらに改良していく余地はありますが,今後,学内の芝生へ消化液を散布して,きれいな芝生形成に少しでも貢献していきたいと考えています。このことは,循環型キャンパスの好例になるとともに,欧米の大学のようにきれいな芝生をもつキャンパスになることを願っています。

モデルバーン前の芝生への消化液散布
モデルバーン前の芝生への消化液散布

(北方生物圏フィールド科学センター)


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