元水産学部長・名誉教授 辻野 勇氏は,平成23年10月26日午後2時55分,享年89歳でご逝去されました。ここに生前のご功績を偲び,謹んで哀悼の意を表します。
同氏は,大正12年1月1日北海道札幌市に生まれ,昭和20年9月に北海道帝国大学農学部水産学科を卒業され,日東理化学研究所勤務を経て同24年3月に北海道大学農学部文部教官,同25年12月に同大学農学部助手に昇任されました。その後,昭和28年4月に同大学水産学部に配置換となり,同30年3月同大学水産学部講師,同43年2月同大学水産学部助教授,同54年10月同大学水産学部教授に昇任されました。また,昭和58年4月から同60年4月まで水産学部長・評議員を務められ,昭和61年3月に停年により北海道大学を退職,同年4月に北海道大学名誉教授の称号を授与されました。また,昭和61年6月から平成2年3月までテクノポリス函館技術振興協会副理事長・北海道工業技術センター長を務められました。
北海道大学における37年間,同氏は学部学生,大学院生の教育・研究に注力され,多くの優秀な人材を育成されるとともに,褐藻アルギン酸の酵素分解物の構造解析,紅藻のヌクレオチド糖の分析,紅藻の紫外線吸収物質の構造解析など,一貫して海藻の有機成分の研究に取り組まれ,多くの業績を残されました。昭和40年には,アルギン酸の酵素分解物に関する研究により日本水産学会賞を受賞されております。
学外においては,日本水産学会理事および評議員,北海道科学技術審議会委員,テクノポリス函館開発計画検討協議会委員,財団法人北水協会評議員などを歴任され,昭和62年には海藻類の化学分析と地域の研究開発への貢献により,函館市文化賞を受賞されております。
以上のように,同氏は長年にわたり北海道大学において教育・研究に携わり,優れた業績を挙げられ,専門分野を通じて北海道大学の発展,国内外の学術振興,人材の育成に多大の貢献をなされました。
ここに謹んで辻野 勇氏のご冥福をお祈り申し上げます。
(水産科学院・水産科学研究院・水産学部)
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