名誉教授 大島正二氏は,平成23年11月8日,病気療養中のところ御逝去されました。ここに生前の御功績を偲び,謹んで哀悼の意を表します。
同氏は,昭和8年10月21日東京都に生まれ,東京外国語大学六部一類(中国語学科),東京大学大学院人文科学研究科言語学専攻修士課程を経て,早稲田大学語学教育研究所助手に採用されました。その後,ワシントン大学大学院極東語学科博士課程において,李方桂教授のもとで中国音韻学を研究され,スタンフォード大学等で客員講師を担当し,帰国後,早稲田大学語学教育研究所専任講師を経て,昭和43年4月北海道大学文学部講師(中国文学講座)に採用されました。そして,助教授,教授を経て,平成9年3月に停年で退職,同年4月に北海道大学名誉教授の称号を授与されました。
同氏は29年もの長きにわたり,本学の学生・院生の指導及び研究者の養成に励まれるとともに多くの研究成果を発表し,本学の教育研究に尽力されました。
同氏の専門分野は中国音韻学及び中国言語学史であり,特に唐代を中心とした中古音の究明が主要研究テーマであります。同氏は種々の音韻資料を詳細に分析し,そこに現れた声類,韻類の音韻的特徴を解明し,昭和56年,長年にわたる研究の集大成ともいうべき「唐代字音の研究」を刊行,この著書によって,昭和58年北海道大学より文学博士の学位を授与されました。
同氏は,本学の各種委員及び文学部長,評議員,大学院文学研究科長として,学部,大学の運営発展に力を尽くされたほか,日本中国語学会,日本中国学会の評議員,理事として学会の発展に寄与されました。
また,研究成果を広く社会に還元すべく,「辞書の発明」「漢字と中国人」「漢字伝来」「唐代の人は漢詩をどう詠んだか」「中国語の歴史」などの啓蒙書を陸続と刊行するなど,内外の学術の振興に寄与されました。
ここに謹んで先生の御冥福をお祈り申し上げます。
(文学研究科・文学部)
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