北の息吹  (56)

クマガイソウ (Cypripedium japonicum

クマガイソウ
2011.6.9 厚沢部町

 大きさには関係なく,一つだけ花をつけるランの仲間は華麗である。特にアツモリソウ属の花は色と形が良く,国内に自生する5種は山野草愛好家に狙われて自然状態のものを見つけるのは難しい。札幌近郊にもあったアツモリソウはもう見られなくなったし,礼文島固有の変種であるレブンアツモリソウは人工培養には成功したが,人の管理下にない株は絶滅寸前である。その中でもクマガイソウだけはまだ自生地が残っており,道内でも渡島や日高では観察可能であるが,花の風貌は美しいというよりは雰囲気があるという方が正しい。ここでは,あえて正面を外し,斜めからの風格のあるポートレートとした。

前理事・副学長 岡田 尚武


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