総合入試の導入
皆様すでにご存知のように,本学では,平成23年度の入試より,「総合入試」を導入いたしました。この新たな入試制度は,学問分野の細分化・融合化に関して十分な情報を持たないために生じる,受験生の学部・学科選択におけるミスマッチの解消を図ることを目的としています。本学の一般入試前期日程において,全2,485名の募集人員中,文系100名,理系1,027名の募集人員で総合入試を実施しました。本入試制度の特徴の一つとして,理系においては,数学重点,物理重点,化学重点,生物重点,総合科学の選抜群を設けていますが,この選抜群は入学後の進路を何ら制限するものではありません。また,総合入試導入に伴い,初年次教育における共通教育の充実を図っています。入学後の教育体制
入学後の初年次教育としては,AO入試,一般入試(総合入試,学部別入試)等によって入学した新入生を,全員1年間,総合教育部に所属させ,文系,理系の2本のカリキュラムで,専ら全学教育科目を履修する体制としました。特に,理系では,入学者全員に対して,入試方法に依らないクラス編成を行ないました。こうした体制整備のため,新入生を受け入れる半年前の平成22年10月に,高等教育機能開発総合センターを改組し,高等教育推進機構を発足させました。本機構は,全学教育部,総合教育部,高等教育研究部,教育支援部に,今春より大学院教育部が加わった5部体制となっており,この中で,総合教育部が新入生の受け皿となり,初年次教育を統括しています。高等教育推進機構の役割については,機構のニュースレターNo.87(July 2011)(http://socyo.high.hokudai.ac.jp)をご参照ください。次にこの稿では,総合入試1期生に対してこの3月に実施しました学部移行の状況を報告したいと思います。移行振り分け
昨年,前期の成績が出ました9月に,移行先についての「予備志望調査」を実施し,その結果を1年生全員に公開しました。この調査で顕著だったのは,文系から理系への移行志望者が12名いたことでした。全学教育科目の多様な学びの経験から,自ら興味を見出し,志望したことがうかがえます。移行振り分けは,本人の希望と成績を基にした移行点の得点上位者から順に移行先(学部等)が決定されます。後期の成績が確定した3月上旬に,1,119名の進学予定者に対して,第1回志望調査を行い,その結果の通知とともに第1次志望登録を実施しました。第1次志望登録をもとに,医歯薬系6年制課程進学者と,文系−理系間移行者,それ以外の学科・コースの定員の8割以内の振り分けを確定しました。結果として,文系から理系へ4名,理系から文系へ2名の系移行者を含む890名の移行先が決定しました。
残り229名を対象に,第2回志望調査を行い,その後,3月13日から15日の期間に第2次志望登録を実施しました。その結果,203名の移行振り分け先が決定しました。残りの学生に対して補充振り分けを実施し,19名の移行振り分け先が決定しましたが,7名の学生は移行先が決まらず留年となりました。
総合入試の今後
総合入試については,ここ数年,東京,大阪,名古屋で実施している北大進学相談会により認知されてきているとともに,その理念が理解されているようで,平成23年度,24年度とこれらの地域からの志願者が顕著に増えて来ています。また,今回の移行振り分けで明らかになったことですが,総合入試を導入した平成23年度入学者の1年次・第1学期時点のGPA(グレード・ポイント・アベレージ:履修科目の成績の平均数値)が,総合入試導入以前の入学者と比べ,大きく上昇しています。成績を基準にした学部移行システムを用いたことが理由と考えられますが,総合入試の導入が勉学への向上心に繋がったと見ることが出来ます。この傾向が続くことを願っております。今後は,初年度の総合教育・移行振り分けの結果を点検して,より充実した初年次教育のシステム構築を目指したいと考えております。皆様のご理解とご協力をお願いします。