北の息吹

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ハクサンチドリ (Dactylorhiza aristata

ハクサンチドリ

2010. 6. 26 手稲山九合目付近

 大分前のNHKの朝ドラで,老人には観察の難しい高山植物として本種が取り扱われていたが,北海道では山岳地帯から海岸近くまで普通に生えているランの仲間で,道北では国道脇の雑草の趣すらある。花弁の形と色には変異が多く,普通はあまりさえない暗赤紫色であるが,鮮やかな赤紫色のものや白色のものも珍しくない。山では葉に暗色の斑点のある「ウズラバ」と呼ばれるものもよく見かけるが,ウズラの卵の模様になぞらえたものとのこと。草丈は生育環境によって大きく異なり,大きいものでは40p位まで成長する。こんな立派なランが,雑草のごとく生えている北海道の自然はうれしい限りである。

前理事・副学長 岡田 尚武

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