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エゾオヤマノエンドウ (Oxitropis japonica var. sericea )

2007. 7. 8 大雪山小泉岳
決して大きな花ではないが,見通しのきく稜線上に鮮やかな赤紫色の花がかたまって咲くので遠くからでもよく目立つ。絶滅危惧T類とされている本変種は国内では大雪山のみに分布するが,母種のオヤマノエンドウの方は本州中部の高山帯に広く分布している。花はマメ科の植物に共通する蝶形で,立ち上がった大きな旗弁の基部には白い斑紋がある。この斑紋には花弁と同色の筋模様が発達し,白色部分が制限されているのが普通だが,ここに示した個体では白色部分が目立っており,一層華やかな雰囲気である。密生するイワウメの葉をバックに,その白い花と混じって咲く様子も微笑ましい。
前理事・副学長 岡田 尚武