総合博物館では,夏休み期間に学生発案型のイベントを3件実施しました。イベントの運営は,大学院共通授業科目・理学院専門科目「博物館コミュニケーション特論T−学生発案型プロジェクトの企画・実施・評価」(担当:総合博物館 湯浅万紀子准教授,藤田良治助教)の授業の一環として,大学院生15名が担当しました。この授業はミュージアムマイスターコースの社会体験型科目としても位置付けられているため,理学部3年生の1名も参加しました。
1つ目のイベントは,7月20日(金)に開催した「学生のための学生による博物館ナイトツアー」です。学生に博物館をもっと利用してほしいと考えて対象を北大生に限定し,博物館の利用経験が少ない学生にもアピールできる企画として,夜の博物館を舞台に受講生による展示解説ツアーを行いました。解説テーマは,「鈴木クロス・カップリングってなにがすごいの!?」,「大学院生から見た海洋資源の価値」,「北海道大学の『生物多様性』研究」です。受講生の専門性を活かし自らの経験を織り交ぜた解説は好評で,参加学生との質疑応答も活発に行われました。展示解説ツアー終了後には,学生の博物館利用を促進するための意見交換を懇談会形式で行いました。今後,受講生は参加学生6名から得た貴重な意見をもとに,博物館に学生を更に呼び込むための提案をまとめ,総合博物館へレポートとして提出します。
他2つのイベントは,8月4日(土)・5日(日)の週末に同時開催した「夏休み企画!ニンテンドーDS を持って北大博物館へ GO!GO!」と,「子ども向けガイドマップ『博物館ぐるぐるマップ〜昆虫編』」です。いずれも夏休みに来館が増える小学生を対象に企画されました。DS企画は,携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」を用いて,古生物や岩石・鉱物の展示について30種類の解説を行う音声ガイドの配信を展示室で行いました。コンテンツは総合博物館教員の監修を受け,受講生が音声を吹き込みました。この企画は「北大元気プロジェクト2012」に採択され,助成を受けました。ガイドマップ企画は,昆虫標本の展示室以外にも点在する昆虫関連の展示物を探しながら,博物館オリジナルの「はっけんカード(昆虫解説カード)」を集めて,参加者独自のガイドマップを作成する取り組みです。
テレビ局3社から取材を受け事前に報じられたこともあり,問い合わせが多く,当日は開館前からイベント参加希望者が並ぶほどでした。参加者は両日合わせて400名を超え,ガイドマップで館内を巡った後に,持参したDSや博物館で用意したDSを持って展示室で熱心に音声ガイドを聞く子ども達で常に展示室は賑わっていました。いずれの企画も受講生がゴール地点と定めた場所で子ども達から感想を集め,保護者にはアンケートを実施しました。現在,受講生は企画の評価に取り組んでおり,10月上旬に総合博物館の教職員に報告し,その成果と課題について議論する予定です。
学生の自由な発想による企画は,総合博物館の教職員会議で提案して了承を得た上で実施しています。内容は教員が監修し,授業の一環として,広報と評価も含めた運営を指導しています。1つの企画をグループワークによって実施・運営・評価することで,学生には様々なことを学んでほしいと願っています。そして,大学博物館である当館は,学生が活躍する博物館であることを多くの来館者にお伝えしていきたいと思います。
本授業の過程は,総合博物館ホームページで紹介しています。http://www.museum.hokudai.ac.jp/highereducation/storytopic/13/