助教 宮本 正樹 (みやもと まさき) 氏 (享年46歳)
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北海道大学病院消化器外科U助教 宮本正樹先生は9月11日未明,脳血管障害のためご逝去されました。ここに先生の生前のご功績を偲び,謹んで哀悼の意を表します。 先生は平成4年に本学医学部を卒業後,直ちに医学部外科学第二講座に入局し,外科医の道を歩むとともに,平成12年からは癌の基礎研究をライフワークとして教室の基礎研究部門のリーダーとして活躍されておりました。これまでの12年間で実に70名もの博士課程大学院生を直接指導しながら,癌の分子生物学的研究において多くの業績を遺されました。最近では難治癌に対する免疫療法の研究を主として行い,外科手術だけで治癒困難な癌を手術以外の治療を付加することで何とか制圧したいという,教室全体の目標を具現化する,まさに立役者でありました。 数学に秀でた同氏は医学統計学を得意分野のひとつとし,独学で身につけた論理学を武器に,教室員はもとより診療科の枠を越えて多くの医療者や研修医,あるいは学生に対しても,常に魅力的なレクチャーをされていました。そのような評判が学生達に口コミで拡がり,宮本先生を中心に定期的なセミナーが開催され,数年来,継続されておりました。関連病院からの要請があれば,ボランティアで統計学の講義を行うために休日を返上して出向くことも数多くありました。同氏は旅立つ前日の9月10日午後も,定例のカンファレンスにおいて教室の研究体制について,いつも通りの鋭い弁舌でプレゼンテーションを行っておられました。 これからも長い年月をかけ基礎研究や外科臨床,あるいは学生教育を通じて難治癌治療を中心とする医療の進歩に多大なる貢献をされるものと皆が確信していた先生の,あまりにも早いご逝去に痛恨の念を禁じ得ません。 ここに謹んで先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。 |